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2016.07.15 更新
阿部さんが2008年に海士町に移住して設立した(株)巡の環は、現在スタッフ8名。
「持続可能な地域づくりへの貢献」をめざし、海士町のビジョンや計画を作る「地域づくり事業」、島外の企業や自治体、大学の研修を海士町で行う「教育事業」、物産の販売や海士町の魅力を発信する「メディア事業」を3本柱に、海士町の活性化、より良い社会の実現につながる活動に積極的に取り組んでいらっしゃいます。
それではさっそく、景色が美しい縁側でのインタビュースタート。
何もかもゼロからスタートした海士町暮らし。
海士町の人に教わりながら、作り上げていく楽しさを実感。
まさかのオフィスで驚きました。
ここにはどのくらいいらっしゃるのですか?
ここにはどのくらいいらっしゃるのですか?
阿部さん
2年前からお借りできることになり、私が移住して3軒目の事務所になります。9年前、ここに来たばかりの頃は公民館をお借りしていたんですよ。
その後にお借りしたところでは、床は抜けているし、網戸がなかったり...。
大工仕事が得意な父親を1週間ここに呼んで一緒にトンカンしていたら島の方が立ち止まってアドバイスしてくれたりね。
何でも自分たちでゼロから作れることがとうれしくて楽しんでやってました。
その後にお借りしたところでは、床は抜けているし、網戸がなかったり...。
大工仕事が得意な父親を1週間ここに呼んで一緒にトンカンしていたら島の方が立ち止まってアドバイスしてくれたりね。
何でも自分たちでゼロから作れることがとうれしくて楽しんでやってました。
巡の環さんは現在、「地域づくり事業」「教育事業」「メディア事業」を3つの柱としてビジネスを展開されていますがそのようなノウハウは移住された頃からお持ちだったのですか?
阿部さん
いえいえ。実はここに来てから身につけてきたことばかりです。
たとえば、教育事業のひとつに企業や大学などを対象とした五感塾という研修を行っていますが、関連する書籍を読んだり、詳しい人に聞いたり、研修を受けたりしながらひとつひとつ経験を積んで血肉にしてきました。
企業さんから依頼を受けたらどんな課題に対してどんなテーマで行うのか打合せをしながらプログラムを練り上げていきます。
たとえば、教育事業のひとつに企業や大学などを対象とした五感塾という研修を行っていますが、関連する書籍を読んだり、詳しい人に聞いたり、研修を受けたりしながらひとつひとつ経験を積んで血肉にしてきました。
企業さんから依頼を受けたらどんな課題に対してどんなテーマで行うのか打合せをしながらプログラムを練り上げていきます。
ということは、これまで実施されてきたものに
同じものは無いと?
同じものは無いと?
阿部さん
そうです。100本あればすべてオーダーメイド。
それはすごいですね!大変だ
阿部さん
「研修」で何を学ぶのかというと、
主に「スキル」「ナレッジ」「マインド」に分類されますがスキルとナレッジについては都会でも学べることだと考えています。
そのため、私たちが行う研修では「マインド」がテーマの中心。
つまり意識改革ですね。
地域の課題を自分ごと化し、仲間と共に挑戦しながら、解決に向けて前へ進んでいる海士町の人たちを映し鏡にして、自己を振り返り、自身のこれからを考え行動するきっかけを提供しています。
主に「スキル」「ナレッジ」「マインド」に分類されますがスキルとナレッジについては都会でも学べることだと考えています。
そのため、私たちが行う研修では「マインド」がテーマの中心。
つまり意識改革ですね。
地域の課題を自分ごと化し、仲間と共に挑戦しながら、解決に向けて前へ進んでいる海士町の人たちを映し鏡にして、自己を振り返り、自身のこれからを考え行動するきっかけを提供しています。
地元の漁師の方に研修の講師を依頼。
参加者全員の心が響き合う、はじめての経験に。
海士町の皆さんがもつマインド、つまり「志」を研修を通じて伝えていくのはスキルやナレッジを教えるより難しい気がしますが。
阿部さん
私たちが一番最初に五感塾を行ったのが2008年。
対象は、複数の大企業による連合メンバーでした。
そのプログラムのひとつとして、島のベテラン漁師を講師に招いて仕事に対する向き合い方をお話しいただこうと漁師の方を訪ねたら、「やらない」「帰れ」の一点張り。
企業の人が何しに来るんだと。ワシの魚を買ってくれるのかと。
対象は、複数の大企業による連合メンバーでした。
そのプログラムのひとつとして、島のベテラン漁師を講師に招いて仕事に対する向き合い方をお話しいただこうと漁師の方を訪ねたら、「やらない」「帰れ」の一点張り。
企業の人が何しに来るんだと。ワシの魚を買ってくれるのかと。
漁師さんにしたら、人前で何かを話すご経験はまずありませんよね。
阿部さん
そうです。
それでも何度も足を運んで、ときには仕事を手伝いながら「なんとかお願いします」「ボクの質問に答えるだけでいいです」とお願いし、最終的にはなんとか「うん」と了承していただけたのです。
ところが実際にはじまってみると、過去の辛かったこと、うれしかったことをその漁師さんは涙を流しながら話してくださいました。受講者の皆さんも泣いていらっしゃいました。
それでも何度も足を運んで、ときには仕事を手伝いながら「なんとかお願いします」「ボクの質問に答えるだけでいいです」とお願いし、最終的にはなんとか「うん」と了承していただけたのです。
ところが実際にはじまってみると、過去の辛かったこと、うれしかったことをその漁師さんは涙を流しながら話してくださいました。受講者の皆さんも泣いていらっしゃいました。
素晴らしい研修になったのですね。
阿部さん
今まで地道にコツコツと働いてきた漁師さんにスポットライトが当たりとてもキラキラして見えました。
そして受講者の目つきが変わり、みんなの想いが響き合っていることがはっきりとわかりました。
こうして地元の人に光を当てることは大切なことなんだと強く思った瞬間でした。
その日の帰り道、島のある方に言われたんです。
「(この研修は)、あんたらがやったんが良かったと思う」と。
このときはまだ私がここに移住して1年足らずです。
「ああ、ここに居ていいんだ」と心の底から安堵したのを
はっきりと覚えています。
海士町の人として認めてもらえたんですね。
阿部さん
素の自分を出すことで認めてもらえました。
そして、ここでやっていく勇気も一緒にもらえました。
そして、ここでやっていく勇気も一緒にもらえました。