2015.08.07 更新

汗をかいたり、涼しい部屋にこもったり。
体調をくずしがちなこの時期にこそ、
身体が求めるものを。

(株)シマノが運営する「Life Creation Space OVE」のカフェで腕をふるっているフードセラピストの石光さん。季節や気候の変化を察知し、旬の食材と味付けに工夫を重ねるその味わいは、「一度食べたら忘れられない」とリピートするファンが多いそうです。
東洋医学の陰陽五行の考え方を基本に、日本の「旬」を大切にした石光さんの料理への思い、そして夏場に体調を整えるおすすめレシピについても教えてもらいました。
お腹がグゥ~となるかも?の美味しいコンテンツ、前後編でお届けします。

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石光 映美子(いしみつ えみこ)
東洋医学陰陽五行を軸に、空間と食・大切な人に贈る食を提供するフードセラピストとして活動。株式会社シマノが運営する「Life Creation Space OVE」のcafeでメニュー開発や食事の提供を行うかたわら、「earthday いのちの森」明治神宮の食プロデュースを行うなど、さまざまな方面で活躍中。

食を通じて、大切な人に何ができるだろう。
その答えが「癒しの食」、中国由来の五味五色の考え方。

Cyclingood
「フードセラピスト」という肩書きを初めてお聞きしましたが、どのような職種になるのでしょうか?
石光さん

私は料理を提供するにあたって、ずっと大事にしてきたことがあります。
それは、人間は自然の中に身を置いている存在であり生きる上では移り変わる季節を楽しむことがとても大切だと。
季節を身体で感じられることのひとつが「食べる」こと。
食を通じて季節を味わい、身体の「実」にしてもらえる料理を大切な人に届けたい、ずっとそう思っていました。

そんなとき、知人が私の料理を食べてこう言ってくれたのです。
「映美ちゃんの料理って、セラピーみたいだね」って。
疲れている人、落ち込んでいる人、いろいろな状況にある人に、食べて笑顔になってもらえるように、何かのチカラになれるようにと思いを込めて「フードセラピスト」として活動させてもらっています。

Cyclingood
まるで「癒しの食」ですね。石光さんの料理は東洋医学の陰陽五行に基づいていらっしゃるとか。
石光さん
はい、陰陽五行説は中国で生まれた思想で、日本でも暦や干支、占いなどいろいろな形で発展してきました。
料理において、春は青で酸味、夏は赤で苦味、土用(夏)は黄で甘味、秋は白で辛味、冬は黒で塩辛い味という5つの季節ごとに色と味わいを組み合わせた「五味五色」に基づいた料理を季節や気分に応じて取り入れることが健康づくりに効果的だと考えられています。

Cyclingood
その季節に適したものを基本に、気分や体調を考慮して味付けや組み合わせを変えて食事を摂るという考え方は何とも興味深いですね。
石光さん
たとえば暑い季節に、身体が熱っぽく火照る、眠れないという症状になる方が多いと思いますが、そういう方には五味五色に基づいて熱を取る働きのある食材を取り入れます。また、雨が続いて湿気の高いときには、体内水分をコントロールできる食材を選びます。これが料理を考えるときの基本ですね。
このOVEで毎日ランチメニューを提供していますが、「今日はこんな天候なのでこの食材を使って、こんな味付けにしています」とできるだけお伝えして、納得して食事を味わっていただけるようにしています。
レトルト食品はいつも一定の味わいを楽しめますが、私の料理は毎日味覚を変え、「そのときに一番」の味わいを追求するのがモットー。
それが他の料理人の方との違いなのかもしれません。

身体に熱がこもりやすいこの季節。
食材や味付けの組み合わせで、身体の調子を整える。

Cyclingood
それでは今回、Cyclingood用に特別にメニューを作っていただきたいのですが、夏を快適に過ごすためのおすすめのお料理をお願いします。
石光さん
わかりました。何がいいかなといろいろ考えたのですが、やはり暑い時期ですからね。運動後に暑さを払うものと夏バテ対策用に2品作りますね。おまけにジュースも足そうかな。
ではまず「豚肉のソテーパイナップル甘酢ソース」からはじめます。
Cyclingood
よろしくお願いします。

Cyclingood
石光さんはOVE以外でもさまざまなイベントに参加されていますよね。
最近はどのような活動をされているのですか?
石光さん
ここのところ参加させてもらっているのが、子ども向けのサマーキャンプです。
子どもたちと一緒に地方に行って、地元のお年寄りの方に貝殻でつくったものをプレゼントしたり、肩もみをさせてもらったり...。
私からは料理を子どもたちに教えて、お年寄りの方々と一緒にお食事を楽しんでいます。
できるだけ地元の食材を使って、ちょっと珍しいスパイスやハーブを組み合わせ、新鮮さのある料理に仕上げるよう意識しています。
地元の子どもたちにも「こんなに美味しいものがある」「こんなに素晴らしい場所に住んでいる」ということを再発見してもらうことが多く、とてもやりがいを感じますね。
Cyclingood
それはいいですね。地元の方も参加したお子さんにとってもいつもと違う食事を楽しめることは本当にうれしいでしょうね。
石光さん
このサマーキャンプに以前参加したお子さんが成長して、「調理の専門学校に入りました」と最近連絡をもらったのです。
あのときの体験が忘れられなくて、この道を選んでくれたそうです。
料理人冥利につきますね。「いつか一緒に仕事ができるといいね」と話していたところなんですよ。

Cyclingood
いい匂いがただよってきました。
お腹がグゥっとなりそうです(笑)。
これはスペアリブと夏野菜を、パインジュースで少し火を通してからタレを絡ませているんですね。
石光さん
そうです。パイナップルと豚肉の組み合わせは消化吸収を高めてくれる働きがあります。
豚肉は果実と相性のいい食材で、特にビタミンB1が豊富。
だから疲労回復にいいんですよ。
できました。さあどうぞ。
と、一品目の「豚肉のソテーパイナップル甘酢ソース」が出来上がったところで、
前編はおしまい。引き続き後編をお楽しみください。

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