2021.03.12 更新

忙しすぎた毎日から解放された定年退職後。
自転車を相棒にした「散走」で、自由を満喫。

散走とは、自転車で走る行為そのものを目的にせず、興味関心を満たすことを目的に
散歩のようにゆっくりと自転車を利用する楽しみ方。定年退職後に「やりたいことをやる」と
決めた三船さんが夢中になったのが、この散走でした。今回は自ら散走を企画し、
仲間と共に楽しむ三船さんの1日に同行し、散走に行き着いた経緯をお話いただきました。

profile
profileSAKAI散走倶楽部 世話人他
三船 義博さん

1950年大阪府堺市生まれの70歳。会社員時代はエンジニアとして勤務し、60歳で定年退職。環境問題への関心を起点に堺自転車のまちづくり・市民の会、堺エコロジー大学、写真クラブなどに入会し、活動の幅を拡大。2011年日本サイクリング協会サイクリングインストラクター取得、2012年仲間とミューズ・サイクリングクラブ立ち上げ(事務局自転車博物館内)、2017年堺市中心市街地活性化協議会堺コミュニケーションサイクル(SCC)参加、2019年SAKAI散走倶楽部世話人へと精力的に活動中。

後編の「三船さん」

  1. 環境への関心から自転車へ、散走へ
  2. 私が楽しいことは、きっとみんなも楽しい
  3. 散走ができることにアイデアを広げて

この日の「野点っぽい散走」のように、堺市を拠点にオリジナリティにあふれたユニークな散走を企画し、実践している三船さん。仲間がまた仲間を呼んで、現在は20名ほどが中心メンバーとなり、ゆるやかなつながりのある散走体験を楽しまれています。
てっきり三船さんがリーダーとなってすべてを仕切っているのかと思いきや、「私は代表者ではなくてあくまでも企画者」と、参加者が主体性をもって参加してもらうよう促しているそう。なぜ三船さんがこのような散走企画を行うことになったのか、まずはこれまでの経緯をお聞きしていきます。

Cyclingood
今日はありがとうございました。皆さんも楽しそうでしたね。
三船さん
いやあ、いつもこんな感じであまり決め事を作らずにやっているのですが、今日は天候も良くて散走日和でしたね。無事に済んでよかったです。
Cyclingood
それではさっそく、三船さんが散走に携わるようになった経緯からお聞かせいただけますか。
三船さん
定年退職後に「さあこれからだ」と新しいことをはじめようと思い、まずは堺市役所に行って市の取り組みの情報収集をしました。環境問題に関心があった流れで『堺自転車のまちづくり・市民の会』に入会し、自転車博物館へ足を運ぶように。そこでサイクリングイベントに参加したことから、自転車熱が高まっていきました。
Cyclingood
その頃はどのように自転車を楽しまれていたのですか?
三船さん
仲間とサイクリングクラブを立ち上げて輪行したり、100kmほどの距離を走ったり。その後、堺市の自転車関連の活動に関わる中で『散走』に出合ったのです。

Cyclingood
走ることそのものを目的としない散走について、どのように感じられたのでしょう?
三船さん
最初は「こういう楽しみ方があるんだ」という驚きでした。散走だったら気ままに走れるので疲れることなく楽しさが残りますし、ゆっくりでいい、無理しないというスタイルも私の身の丈に合っていると感じました。堺の名所に気軽に触れられることも私の関心を満たしてくれます。すっかり惚れ込み、堺市自転車まちづくり部のサポートメンバーとして散走部会の担当にもなりました。
Cyclingood
そして2019年に、このSAKAI散走倶楽部を発足されたのですね?
三船さん
はい、そうです。私自身が楽しいと感じることを仲間と共有したいという思いからはじめたのですが、気がつけば仲間が増えていました。自転車を走らせて、好きなものを食べて、だいたい半日で終わるというのがちょうどいい。そういえば、みんなで走って目的を楽しんだらその場で解散、という関わりすぎない付かず離れずの距離感も私に合っていると感じています。
Cyclingood
今日の野点っぽい散走以外に、どのような企画を実践されているのすか?
三船さん
堺市の隠れた名所を巡ったり、『コーヒー豆を買いに行く』、『ランチを食べる』、『注染工場見学』といった、身近で楽しいテーマであることを心がけています。私がおもしろいと感じることはみんなも同じかな、というのが企画を考える原点ですね。

Cyclingood
第二の人生を散走とともに謳歌されていると感じますが、今後取り組んでみたいことはありますか?
三船さん
中高年者を対象に医療費の削減や引きこもりのサポートに散走を役立てられないかなと考えています。また、堺の伝統産業、つまり堺のほんまもんを楽しむような企画も考えたいですね。散走に限らず、自転車の活用では、高齢者向けの買物代行や自転車タクシー、子ども向けの安全教育の場『楽校』の設置などのアイデアを巡らせています。
Cyclingood
さすがのアイデアマンですね! 三船さんは自転車を社会課題の解決に役立てたいとお考えなのでしょうか?
三船さん
いやいや、そんな大げさなものではないです。私自身がいろいろな意味で「ちょうどいい」と感じている自転車の魅力を、もっと他でも生かせないかと考えているだけです。私自身、堺市に生まれ育ったのにも関わらず知らないことが多く、この散走を通じてたくさんの発見がありました。地元の再発見や仲間との関係をつなげてくれるこの自転車の、そして散走の魅力を多くの人に感じてもらいたいと思っています。

「退職するまでとにかく忙しい毎日で、会社を辞めたら自分のやりたいことに打ち込みたかった」という三船さんが、第二の人生の相棒に選んだ自転車。体力の限界に挑戦する楽しみ方から「身の丈に合った」散走へと興味の対象を変えられました。
いくつになっても知らないことを知るワクワク感。仲間と一緒に楽しさを共有できる安心と喜び。みんなに喜んでもらえる(そして自分も楽しい)企画を考える充実感。三船さんにとって散走を通じて得たものは計り知れないのかもしれません。
いくつになっても意志と意欲があれば自分の人生をもっとおもしろくできる。今回の取材を通じてそう教えていただいた気がします。三船さん、ありがとうございました。

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