2017.12.25 更新

こころとからだのあり方を探求し、
その知見とキャリアを町の活性化に注ぐ。

現在、大阪府河内長野市の市立林業総合センターの外部契約スタッフとして
勤務されている倉橋さん。
しかしその経歴は、スノーボードクロスの競技選手、プロモーター、
ヨーガインストラクターなどのさまざまな「顔」をもち、河内長野を自転車のまちとして
活性化させるお仕事にも携われていました。
倉橋さんの人生を振り返りながら、人と町を元気に、おもしろくするその思いと原動力に迫ります。

profile
profileプロモーター
倉橋 陽子さん

大学卒業後、アパレルブランドの企画営業・MDなどを経験した後、スノーボードクロスの競技選手として活動。転職した会社でWeb開発プロジェクトを任されながらスノーボード選手としても活動を続ける中、大会でのケガをきっかけにヨーガに出会う。その後河内長野に移住し、「budokon」創始者のキャメロン・シェイン氏の日本でのプロモートを担当するなどさまざまなビジネスを手がける。出産をきっかけにヨーガスタジオを開設すると共に、河内長野市の地域活動に積極的に参画。

後編の「倉橋さん」

  1. 育児に専念。そして河内長野を知る
  2. 奥河内コンシェルジュとして、自転車で町をおもしろく
  3. 自転車とヨーガの共通点と魅力

河内長野に拠点を移しつつも、海外を含めてあちこちに飛びまわり、ヨーガの普及活動に精力的に活動されていた倉橋さん。
今では女性に絶大な人気のヨーガですが、当時まだ日本では今ほど注目されておらず、倉橋さんがプロモーション活動を行ったキャメロン・シェイン氏による「budokon」はヨーガと日本武道を組み合わせた新たなスタイルとしてハリウッドの著名人にも人気となり、徐々に日本でもヨーガブームが拡大。ヨーガの人気が日本で定着してきた頃、倉橋さんは出産という人生の大きな節目を迎えていました。

Cyclingood
2008年に出産されて、仕事のスタンスも変わっていったのでしょうか?
倉橋さん
出産後しばらくは東京・大阪を行き来する多忙な状況だったのですが、子どもを見ていると「こんなに明らかな人間の進化を見られるのは今しかない」と思いまして、仕事を整理して育児に専念することにしました。
Cyclingood
お聞きしてきた倉橋さんの人生の中ではじめての静かな時間ですね。
倉橋さん
そうなんです。大人になってからのご褒美のような時間でした。
子どもを連れてゆっくり町を散歩したり、おだやかに過ごしていました。
このときにここ河内長野にはいろんな名所があるおもしろい町なんだと気づいたのです。
Cyclingood
なるほど。今されている活動につながってきましたね。
倉橋さん
2年間ほど育児に専念していましたが、あるときママ友から
「フリーペーパーのデザインを出来る人を探している」と声をかけられ、過去のデザイン経験を活かしてお手伝いすることに。
そんなご縁をきっかけに、河内長野市役所から地域活性の
プロモーターとしてお声がかかりました。
今は道の駅になっている「奥河内くろまろの郷」を中心として
「河内長野をどうおもしろくしていくか」がミッションでした。
Cyclingood
その手始めが、河内長野を自転車のまちにするという
プロジェクトだったのですね。
倉橋さん
はい、河内長野市の嘱託職員となり「奥河内コンシェルジュ」として
自転車を活用したまちづくりに着手しました。

Cyclingood
どうして「自転車」だったのでしょう?
倉橋さん
河内長野市には山があり、各所にさまざまな名所があります。
ところが公共交通機関で名所めぐりをすると時間がかかって不便です。クルマよりも効率的に気持ちよく移動できるのは何より「自転車」でした。
Cyclingood
その「自転車のまち」にするために、
どのような活動を行われたのでしょう?
倉橋さん
まずはこの町の魅力を住民に再発見してもらい、「奥河内を愛する自転車乗りがつくる自転車マップ」を作成するために、散歩のようにゆっくりと自転車で地域を回りながら地域資源を探す散走フォーラムを実施しました。
このような取り組みは、市が発信するのでなく、
市民が中心となって拡散していくことが一番だと私は思っています。
自転車愛好家に声をかけ、自転車を通じた人のつながりを作り、
その輪が自発的に広がるように働きかけていきました。
Cyclingood
そうして自転車愛好家も利用しやすい「奥河内くろまろの郷」の開業、初の自転車イベント「奥河内booon!」の開催につながっていくのですね?
倉橋さん
booon!はそろそろ自転車のまちを象徴するイベントをしたいという
思いからスタートしました。「ディスカバー奥河内」というチーム名で私以外に2名の地元のメンバーがいまして、
さらに外部の自転車関係者の方にも協力いただきましたね。
自転車愛好家でなくても、親子でも楽しめることを大切にして、
多くの地元やさまざまな方と協力し、開催することができました。

Cyclingood
現在、このような自転車に関わる活動をされながら、
ヨーガ教室の講師としても積極的に取り組まれていますが、
倉橋さんはヨーガと自転車をどのように捉えていらっしゃるのでしょう?
倉橋さん
まずは「人力」であることの魅力です。
森ヨーガをしていたら顕著に感じるのですが、自然のリズムと身体を動かすリズムがフィットして、自分が自然の一部になれることですね。
自転車ならスピードに乗って風になり、
周りの風景がスローモーションのようにゆるやかに変化していき
自分がその世界の中に溶け込んでいるような気持ちになれます。
このような自然との一体感はとてもヨーガと似ています。
Cyclingood
自分が自然の一部になれる感覚はわかるような気がします。
倉橋さん
「上り坂いやだなあ」なんて思いながらペダルをこいでいると
いつの間にかこぐことに集中して、呼吸を意識することはありませんか?こういうときも自然と無心になれて、頭や気持ちの切り替えに
つながっていると思います。
Cyclingood
確かにそうかもしれませんね。
こういう時間をもつことが、現代人には必要なのでしょうか?
倉橋さん
私はヨーガで自分の内面に向かい
そのときの心の有り様を客観的に気づけることに
とても魅力を感じています。
いつしか溜まってしまっているストレスやもやもやの理由に
いち早く気づけることは、いち早く解消できることにつながります。
日常的に身体を動かしながら心を見つめていると
「自分を感じ取る力」の鈍りを防ぐことができ、
心身をニュートラルに、いい状態に保つコツが身についていきます。

Cyclingood
そのような作用が、自転車に乗っているときにもあるとお感じなのですね。
倉橋さん
近い部分はあると思います。
自転車でも、ヨーガでも、健康になるために行うのではなく、
習慣的に行うことによって自分の状態が悪くなりすぎる前に気づけるようになっているというのが本来の姿だと私は思っています。
自転車による運動効果に加え、滑らかに走る爽快感や景色を味わう心のゆとりを常に持ち続けることで、心身の「健康」につながっていくと思います。
Cyclingood
ヨーガ、デザイン、プロモーション、自転車、町の活性化。
倉橋さんがこれまで取り組んでこられたことの共通点って何なんでしょう?
倉橋さん
それはですね、「人間への興味」なのだと思います。
現在大学で「こころの未来」をテーマにしたゼミに参加させていただいているのですが、人間の感情や行動を司る「こころ」ってなんだろうと。突き詰めると人間ってなんだろうと。
ヨーガでの学びを活かしながら、もっと人の本質に迫っていきたいと思っています。

河内長野という理想の場所で、これまでのキャリアと経験を活かし、町の活性化や住民の健康に
惜しみなく知見を注がれている倉橋さんの現在。
無理せず、楽しく、自分のしたいことに率直に取り組まれているその姿勢は、これからの人生をさらに豊かに、おもしろいものにされていくのだと思います。
「人間の本質」にまでアプローチされている倉橋さんが次はどんな「仕掛け」を提供されるのか、楽しみにしています。