『松本・安曇野サイクルロゲイニング2023』❷

『松本・安曇野サイクルロゲイニング2023』❷

『松本・安曇野サイクルロゲイニング2023』❷

2023.12.27 更新

「ロゲイニング」をご存知でしょうか。与えられた地図をもとに時間内にチェックポイントをめぐり、得点を集めるナビゲーションスポーツです。長野県の松本市と安曇野市で開催している「サイクルロゲイニング」は、チェックポイントを自転車で移動して得点を競う内容で、昨年に続いて今年で2回目の開催。10月21日(土)は松本市、22日(日)は安曇野市をフィールドに行われ、延べ70人ほどの方が参加されました。このイベントの内容はもちろん、両市の方々が中心となって開催している理由や思いについて取材しました。

What's
What's
松本・安曇野サイクルロゲイニング
地図とチェックポイント写真を見ながら、フィールド内に設置されたチェックポイントをできるだけ多く制限時間内にまわり、得られた点数を競うのが基本ルール。チェックポイントを通過した証明は、規定のスマートフォンアプリかデジタル写真撮影のいずれかとし、参加については松本・安曇野両日でもどちらか1日でもOK。個人でもグループでも参加自由で、自転車をレンタルできるため市外・県外からの参加も可能。

≪後編のお話≫

  1. サイクルロゲイニングがもたらす、さまざまな楽しさ
  2. 松本市と安曇野市が一緒に自転車イベントをしている理由
  3. サイクルロゲイニングの可能性とこれから

走り終えた爽快感と達成感で、ゆったりと閉会式までの時間を待っている皆さんに、
本イベントに参加した理由や感想を聞いてみました。
さまざまな方がそれぞれの目的で、
サイクルロゲイニングを楽しまれていることがよくわかります。

Cyclingood
安曇野でのサイクルロゲイニングはどうでした?

山村さん親子

娘と週末を一緒に楽しめる機会で、何より娘が参加したいと言うので、昨年に続いて今年も参加しました。前回はトータル25km、今年は30kmほど走ることができたのでまあまあな出来だと思います。娘が来年は6年生なので、一緒に走ってくれるのは最後かな。次は35kmの走行をめざします!

山村さん親子

花岡さん親子

今日は下の娘と一緒に参加しました。今回は近いところでポイントを稼ぐ計画で、結局1411ポイント、33kmほどの走行となりました。私自身普段からサイクリストとして自転車を楽しんでいますが、子どもとこうして一緒に参加できる自転車イベントはありがたいですね。ゲーム的な要素があることもとてもいいと思います。

花岡さん親子

狩野さん

ロードバイク歴は13年ほど。ロゲイニングについてはランニング版によく参加していたのですが、膝の手術をしたので自転車ならいける!と思って今回参加しました。今日は行かない場所を事前に決めて、できるだけ速くポイントをまわるように意識しました。自転車のスピード感から、身体が動いている感覚になれるのがとても好きです。

狩野さん

中嶋さんご夫婦

主人は普段からヒルクライムを趣味にしていて、2人一緒に楽しむことができなかったのですが、このイベントなら私もできる!と初めて参加しました。急な坂を上がったり、速く走るのも無理ですが、今日のように平坦なコースを選べると体力に自信がなくても楽しめていいですね。初めて2人で自転車で遊ぶことができてうれしかったです。

中嶋さんご夫婦

閉会式では、安曇野1日の上位3名と特別賞、2日間参加された方の順位発表と
賞品の授与が行われ、なんと今日1日の上位3名は全員3500点満点。
つまり全ポイントを制覇しているため、順位はタイム差で決まりました。
安曇野の自然を感じながらペダルをこぎ、次から次へと目的地に向かったこの日。
最後に、安曇野市観光協会の北林さん、
スポーツイベントの企画を担う(株)未来図の代表、松島さん、
松本観光コンベンション協会の大内さんにお話をうかがいました。

Cyclingood
まず、松本市と安曇野市が共同で
このイベントを開催している理由を教えてもらえますか。
大内さん

ツール・ド・美ヶ原、乗鞍ヒルクライム、アルプスあづみのセンチュリーライドなどに代表されるように、長野県は自転車競技の歴史が古いという背景があります。近年では松本・安曇野市ともに自転車活用推進に積極的で、一緒に自転車のイベントをするのはどうかというアイデアが自然に浮上しました。

北林さん

従来の自転車競技は、話題性が高い一方で参加対象が限定されること、そして市の飲食店や宿泊などの経済効果につながりにくい面がありました。より広い対象の方に、少しでも長くこの地を楽しんでもらう方法として自転車によるロゲイニングが適しているんじゃないかと発想が広がったのです。安曇野市ではランニングのロゲイニングイベントを実施していたこともあり、この楽しさはよく理解していましたし、何より自転車にさえ乗ることができれば子どもを含めていろいろな方に参加してもらえることも大きな魅力でした。

Cyclingood
実施にあたって特に注力されたことは何でしょうか?
松島さん

交通ルールに対する意識の差があることはわかっていたので、自転車安全利用五則に基づく正しい乗り方の浸透ですね。Webサイトや参加者への案内にも交通ルールの理解を強化しました。このような自由に移動するイベントは個人のルール遵守があってこそのもの。サイクルロゲイニングに参加することで、正しい乗り方の啓発機会にもなればと考えていました。

Cyclingood
ルールの啓発はもちろん、
地域の歴史理解、自転車による健康づくりの実感、
そして観光客の誘致にもつながるイベントだなと感じていました。
北林さん
安曇野市では2018年に長野県で最初となる「ハローサイクリング」というシェアサイクルを導入し、以降県内に拡大していきました。観光客が自転車で気軽に安曇野・松本をめぐってもらえる環境を整えているところですが、まだ認知が足らないと感じています。このサイクルロゲイニングももっと市外および県外から参加してもらえる内容に磨き上げていかないと、と感じています。
Cyclingood
今後、自転車を活用したまちづくりとして、
どのようなことに取り組んでいかれるご予定ですか?
北林さん

道路案内のわかりやすさやサイクルラックの設置のようなインフラ整備とともに、飲食店などの地域住民と一緒に観光客を迎える風土づくりも大切だと思っています。イベントの有無にかかわらず安曇野や松本に行きたいと感じてもらえる仕組みづくりですね。自転車だからこそ体感できる、松本・安曇野の自然や人との距離の近さをどう創出できるかに取り組んでいきたいです。

子どもも大人も、自転車に乗れることができれば
誰もが参加できるサイクルロゲイニング。
ランニングよりも遠く、速く移動できることも、
自転車ならではの楽しさにつながっていると感じました。
自転車の運動効果を感じるだけでなく、知らなかった地域の魅力に出合えること。
交通ルールを知るきっかけになること。
いろいろな変化を生むきっかけになっているようです。
これからさらに多くの人に松本・安曇野の素晴らしさを
体感してもらえるイベントになることを期待しています。
松本・安曇野市のスタッフの皆さん、取材撮影に笑顔で応えてくださった
参加者の皆さん、ありがとうございました。

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