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2017.11.17 更新
高橋さんが個人の活動として取り組まれている「Cycling for Charity」。3回目を迎えた2017年は
過去最大のスケールで東京から北海道の女満別を自転車で走り抜くというものでした。
目標とする走行距離は2,000km。1kmあたりの金額を賛同者自身が決めて、高橋さんが走った距離に応じて
寄付金を受け取るというオリジナルのチャリティ活動を、なぜ高橋さんは行われているのでしょうか。
高橋さんがこの活動に込めている思い、自転車で行われている理由などをじっくりとお聞きしました。

≪前編のお話≫
- チャリティ活動を今年は積極的にPRした理由。
- 高橋さんをチャリティ活動に向かわせる強い動機。
- 日本とアメリカの風土の違い。
- なぜ「自転車」だったのか?


まずは、この地図をご覧ください。
これは今年のCycling for Charityで、高橋さんが自転車で走ったルートです。
東京を出発し、4週間で北海道の女満別へ。
もちろん、これだけの規模の活動ですから、高橋さん単独で行ったわけではなく、
協力を申し出たメンバーで一週間ごとにチームを編成。
クルマで並走したり宿や食事の手配を行うサポーター、
そして高橋さんと一緒に走るサイクリストが週ごとにリレーしていく方法で
無事完走を果たされました。
この規模に見合うだけの数の仲間を集めることは難しいでしょうし、
この目標をやり切るという強い動機も一般の人ではなかなかもちにくいかもしれません。
なぜこんなにも大きな目標を高橋さんは打ち立てたのだろう。
なぜやり切れたのだろう。
サポーターやサイクリスト、賛同者が一同に会した
「Cycling for Charity報告会」の翌日、
高橋さんの心の中に迫ってみるような思いでインタビューに向かいました。
こんなにも多くの方に支えられている活動なのだと改めて感じました。
本当にたくさんの方に賛同、ご支援いただくことができ
ありがたく感じています。
不思議に感じていたのですが...
1回目、2回目と回を追うごとに賛同者やサポーターが増えてきている
ことに加え、今年は私自身も積極的にPRを行いました。
Webサイトを立ち上げたり、ロゴを作ったり、いくつかの企業にも話しに行ったり。記者会見も行ってスポンサー集めに奔走しました。
さらに多くの子どもたちの助けになりたかったのは元より、
もっと大勢の人に子どもの教育格差の課題を知って欲しい気持ちが強かったからです。
ずっと変わらず児童養護施設の子どもたちですね。
現在日本では、約3万人の子どもが親と離れて暮らしています。
育児放棄、虐待、死別。
理由はいろいろですが、親と一緒に暮らせないことで
子どもの育ちにさまざまな弊害が起こっています。
食事が1日1食程度の子どもも増えています。
学校を中退する子どももいれば、就職活動が上手くいかない子どもも目立ちます。
私はこのような状況を起こしている要因のひとつが
子どもにとってめざすロールモデルがいないことにあると私は考えています。
それは「こんな大人になりたい」と思える身近な目標になる人。
どんな大人になりたいかということから学習意欲や生きる目的を
得ることができ、その子らしい人生を歩むことができます。
私の行動で少しでもそんな子どもたちの助けになれたら...。
そう考えたのが、Cycling for Charityをはじめたきっかけです。
ときのことを教えていただけますか?
2年前の2015年の夏のことです。
「好きなことで何か子どもたちの助けになることをしたい」と考えていたところ、「そうだ、自転車で走ってみよう」と思いつきました。
当時もうすでに自転車に夢中になっていて、たまたま夏休み時期に差し掛かっていたため、急いで準備を済ませて自転車で東京から東北へ。
1年目は一人の活動でしたが
93名ものスポンサーが集まり、63万円の寄付金になりました。
2年目はコースを変えて友人と2人で長崎から神戸をめざしました。
プロジェクトメンバーも数名加わって、
事務局として手伝ってくれました。
2年分を合わせて寄付金は240万円に。
そして3年目の今年は、もっと寄付金を増やしたいと考え、
走行距離を2,000km、寄付金を500万円という
これまでにない高い目標を立てました。
ボランティア活動やチャリティ活動に慣れていない人にとって
なかなか行動に移せないばかりか
思いつきもしないように思うのですが。
私は子どもの頃からアメリカに住んでいたため、
ボランティア活動を身近に感じながら育ちました。
向こうではクッキーを作って売れた金額を寄付するなど、
誰もがごく当たり前に日常的に活動しています。
だから日本に戻って感じたのは、ここでは社会貢献活動に参画したくてもどうしたらいいのかわからない人が多いのだな、ということでした。
まだ参加の仕方がわからない人が多いのかもしれませんね。
「自転車」はとても身近なツールです。
誰もが一度は乗った経験があり、自分の合ったタイプを選べる
選択肢も広がっています。
参加しやすく共感の輪を広げやすい自転車で社会貢献活動をするのは
私にとってとても自然なことでした。
何より、私にとって「好きなこと」ですからね。
チャリティというかたちで子どもの支援を行うことを決意した高橋さん。
そのチャリティを行うためのツールは他でもない「自転車」でした。
「好きなことで社会貢献」にこだわり、
3回目となる今年は2,000km、目標金額500万円をめざして日本を北上。
その気になるプロセスと結果については
後編でお届けします!
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