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2019.05.24 更新
≪Part③のお話≫
- 宿泊施設が激減しているという現実に直面。
- LODGE MONDOが素泊まりスタイルの理由。
- 関係者おふたりにとっての松本さん。
- 自分がやりたいことをやってきただけ。
観光客が増えて喜ばしい一方で
新たに浮上してきた問題とは何でしょう?
新たに浮上してきた問題とは何でしょう?
松本さん
トレイルツアーをご予約いただくお客さまから「宿泊できるところがない」という話を聞くことが増えて、不思議に思って調べてみました。
西伊豆は夏の海水浴で栄えたまちなので「そんなはずはない」と。
ところがこの10年で140件あった旅館が70件ほどに半減していることがわかりました。主に後継者不足が問題になっているようです。
そんなに減っていたのですか...。
松本さん
ええ。僕も驚きました。この状況を少しでも打破するために、自分たちで宿泊場所を作ることに決めました。それが2018年にオープンしたここ「LODGE MONDO -聞土-」です。
そういう背景があったのですね。
松本さん
僕たちが大切にしたのは、お客さまにこのまちを存分に楽しんでもらいたいということ。食の体験がとても重要になり、このまちだからこその海の幸を思いのままに味わっていただきたいと考え、食事を提供しない素泊まりスタイルにしました。そもそも、海外では食事を出す宿泊施設は少ないですしね。
なるほど。予約の状況はいかがですか?
松本さん
7月の開業時に旅行予約サイトに掲載したところ、アップされたと同時に電話が鳴り止まないほどの状況に。その後も冬場を含めて好調で、夏場しか観光がなかったこのまちに冬も誘致を実現できたという成果を生んでいます。
それではここで、松本さんに関係するお二人のコメントをご紹介。
お一人目は松本さんと一緒に働く株式会社BASE TRESスタッフの平馬さん、
そしてお二人目が松崎町企画観光課の齋藤さんです。
松本さんがここを居場所にしてからの変化についてお聞きしました。
お一人目は松本さんと一緒に働く株式会社BASE TRESスタッフの平馬さん、
そしてお二人目が松崎町企画観光課の齋藤さんです。
松本さんがここを居場所にしてからの変化についてお聞きしました。
インドア派だったので、マウンテンバイクに乗ったこともありませんでした。松本がここで古道整備をはじめたときに誘われて、ドライバーとしてちょっとお手伝いするつもりで参加したら、いつのまにか私もチェーンソーを持って一緒に古道整備に関わってました(笑)。
山を自転車で走るのは最初は恐怖でしたが、少しずつもっと上手くなりたいと思うようになって、3年前からガイドを任せてもらえるまでに。私が生まれ育ったこのまちがこうして変わっていくことに携われることがとても楽しく、また上司である松本の視野と経験値との広さにはいつも驚かされています。
山を自転車で走るのは最初は恐怖でしたが、少しずつもっと上手くなりたいと思うようになって、3年前からガイドを任せてもらえるまでに。私が生まれ育ったこのまちがこうして変わっていくことに携われることがとても楽しく、また上司である松本の視野と経験値との広さにはいつも驚かされています。
これまでの3年間は松本さんと一緒に、まちの活性化事業として「自転車事業」「商品開発」「ローカルメディアでの発信」に力を入れてきました。移住者である松本さんが松崎町の価値を発掘し、こうして新たな風を起こしてくださることにとても感謝しています。
冬の松崎町に観光客が来ることは実際なかったので、松本さんの人を呼び込む力、ストーリー性のある企画力・アイデアにいつも感心しています。これからも松本さんの思いを実現できるよう、役場としても協力していきたいですし、また新しいことにどんどん取り組んでいきたいと考えています。
冬の松崎町に観光客が来ることは実際なかったので、松本さんの人を呼び込む力、ストーリー性のある企画力・アイデアにいつも感心しています。これからも松本さんの思いを実現できるよう、役場としても協力していきたいですし、また新しいことにどんどん取り組んでいきたいと考えています。
おふたりのコメントからも、この10年間で松本さんがいかに人の人生に影響を与え、
このまちを変えてきたのかという存在感の高さが伝わってきます。
現在、(株)BASE TRESの従業員は2名で、サブ的な臨時スタッフが他に3~4名。
移住者と地元住民の雇用にも貢献しながら、次々と新しい一手を考案されています。
このまちを変えてきたのかという存在感の高さが伝わってきます。
現在、(株)BASE TRESの従業員は2名で、サブ的な臨時スタッフが他に3~4名。
移住者と地元住民の雇用にも貢献しながら、次々と新しい一手を考案されています。
齋藤さんのお話にあった「商品開発」とは、
何を作られたのでしょうか?
何を作られたのでしょうか?
松本さん
地元の名産品を使ったお土産です。これは僕の妻が中心になって開発に取り組んだのですが、もともとは松崎町独自のお土産品が無いことに気づいたのがきっかけでした。「くえびこ」というシリーズ名で、桜葉漬けを使った「さくらばナッツバター」、川のりの「かわのりジェノベーゼ」、ひじきを使った「ひじきのパテ」というちょっと味付けにこだわった3品を揃えています。桜餅などに使われる桜葉漬けは、ここ松崎町産が全国シェア70%も占めているのですが、あまり知られていませんよね。松崎町をPRするいわば営業部隊として、日本のあちらこちらに展開できればと考えています。
松本さんの「松崎町愛」がかたちになっていますね。
松本さん
僕がこのまちに溶け込んでこられたのは、海のあるまちだけにどこかオープンで閉鎖的な雰囲気が少ないからかもしれません。移住者を受け入れてくれる大らかな風土が大きいと感じます。
それでもこれほど松崎町の活性化に尽力されています。
どうしてここまでやり遂げられているのでしょう?
どうしてここまでやり遂げられているのでしょう?
松本さん
そうですね。なんでかな。
「まちのためにやってくれている」と言われることも多いですが、実は自分自身がやりたいことをやってきただけなんですよね。子どもの頃学校を窮屈に感じたように、嫌なことはやらない主義ですし、人生の主人公は自分だと常に思って行動してきました。
それが結果的に雇用や観光客誘致などまちの活性化につながり、皆さんに喜んでいただけているのだと思います。
「まちのためにやってくれている」と言われることも多いですが、実は自分自身がやりたいことをやってきただけなんですよね。子どもの頃学校を窮屈に感じたように、嫌なことはやらない主義ですし、人生の主人公は自分だと常に思って行動してきました。
それが結果的に雇用や観光客誘致などまちの活性化につながり、皆さんに喜んでいただけているのだと思います。
松本さんが人生の主人公であるために、大切にされていること、
価値基準は何ですか?
価値基準は何ですか?
松本さん
いろんな世界をこの目で見てきて、一番大切にしたいと思っているのは「本質であるか」ということです。そこにいる人が生み出すその土地ならではの文化があるものに魅力を感じますし、そうでないものにはまったく惹かれません。実はこのリビングの壁の木材、松崎の山の木を使って自分たちで作ったものです。いいでしょう? 自然のままに育った姿をできるだけ見せたくてそれぞれ違う種類の木の面を活かし、自然の森の中を表現しています。実はMONDOの内装にもこれから手を加えていく予定なんです。
このロッジ、まだ完成していないということですか?
松本さん
一旦は宿泊ができるように完成させていますが、既成品がむき出しのところがどうも気に入らなくて、全部に手を加えてこの木材を有効活用していくつもりです。うちならではの良さをもっと出していきたいので、これからそう、1年間はMONDOの内装リニューアルに注力していくつもりです。
LODGE MONDOのリビングにいると、もう何度もここに来ているような
不思議な感覚にとらわれます。
マウンテンバイクを初めて体験した人も、本格的なダウンヒルを楽しんだ人も、
別け隔てなく迎えてもらえる居心地の良さ。それがまたここに来たいという気持ちになるのかもしれません。 「誰かのため」だけじゃ続かない。
「自分のため」に本質を見極め、行動する。
世界を旅してきたからこそわかる松本さんの価値観、スタイルに、
多くの人が共感する理由がわかったような気がしました。
これからどんな「おもしろいこと」に取り組んでいかれるのか、
楽しみにしています。
不思議な感覚にとらわれます。
マウンテンバイクを初めて体験した人も、本格的なダウンヒルを楽しんだ人も、
別け隔てなく迎えてもらえる居心地の良さ。それがまたここに来たいという気持ちになるのかもしれません。 「誰かのため」だけじゃ続かない。
「自分のため」に本質を見極め、行動する。
世界を旅してきたからこそわかる松本さんの価値観、スタイルに、
多くの人が共感する理由がわかったような気がしました。
これからどんな「おもしろいこと」に取り組んでいかれるのか、
楽しみにしています。