岡山県真庭市 自転車の街づくり 2

岡山県真庭市 自転車の街づくり 2「すべては、この街を感じることからはじまる。」

岡山県真庭市 自転車の街づくり 2「すべては、この街を感じることからはじまる。」

2015.06.19 更新

2015年5月24日。晴天の中を1チーム約10名で構成された全4チームが
蒜山サイクリングコースへいよいよ出発。
全長約30kmのこのコースを、各チーム半周ずつに振り分けて走行し、
「標識・看板」「危険箇所」「舗装や補修箇所」「その他あったらいいな」と思うことを見つけていくことが主な目的です。
私たちCyclingood取材班は、真庭市の職員である小谷さんが
リーダーを務めるグループに同行することに。
私たちにとっては初めてのコースで、期待が高まります。

木々に囲まれたゆるやかな坂を気持ちよく下っていたら、
自動車道に出たところでリーダーがストップ。
「この止まれの停止線、この位置にあるのおかしいね。サイクリングロードから下ってきた人も道路を渡りにくいな」と写真を撮りながらチェック。
コースをわかりやすく誘導できているか、クルマや人との接触リスクはないか
ということは大事な確認ポイントです。
場所をマップに落とし込んだら、さっそく再スタート。
私たちのグループには自転車愛好家の方が多いため、
メンバー皆さんのチェックも厳しい!

田畑に囲まれたこの地元の道は、約30kmのサイクリングコースの
ほぼ中央を南北に走るゆるやかな坂道。
集合場所だった道の駅「蒜山高原」方面からはゆるい下り坂が続き、
思わず笑みがこぼれてしまうほどの気持ちの良い時間が流れていきます。
今回の任務を忘れて田んぼの匂いを感じ、脇道に咲く野花に見とれていたら
またまたリーダーがストップ。今度はサインが気になっているようです。

このような大きなサインは、サイクリングロードが出来たときから
そのままになっているケースが多く、改めて見ると老朽化が著しいものも。
「このマップ、褪せてほとんど読めんな」
「だいたいこの向きに立ってるのがおかしいよね?」
「ロード乗りにしたら高すぎて見えにくいなあ」などなど、気づくことがいろいろと出てきます。
みんなが意見を出し合い、リーダーがメモと写真をとりながらまとめたら、
またまた再スタート。
当たり前にあるものを見直すことがとても意味のあることだと改めて感じます。

ここは茅部野休憩所で、蒜山のシンボルである蒜山三座(上蒜山・中蒜山・下蒜山)の雄大な景色を見渡せる絶好のスポット。
この日は晴天に恵まれたこともあり、田んぼに山々のシルエットが映し出されてずっと見ていたい気持ちに。
「ここの休憩所もちょっと考えないかんね」という声が出たほど、
雑草がひしめく、手つかずのままの休憩所であることは否めません。
確かにサイクリングマップを見てここにやって来たら、少しがっかりするかも。

ここでCyclingood取材班は皆さんとお別れし、
前回の散走フォーラムで取り上げられたスポットをまわってみることに。
まずは岡山県指定重要無形民俗文化財である郷原(ごうばら)漆器の館に向かいます。

郷原漆器は600年の歴史をもつと言われる
岡山県の郷原エリアで日常用として使われてきた丈夫で美しい漆器です。
ご覧のように機能美を感じるデザインで、使い続けるほどに味わいが増すそう。
1994年からは、蒜山産の「備中漆」の復興が進められ、
現在も漆の苗木を生育しながら、漆器づくりが行われています。
この備中漆は国内で最高の品質と評価されているほど美しい艶をもち、
下地となる珪藻土、木地となるヤマグリの木など、
郷原漆器で使われているすべての素材が蒜山産になると期待されています。
ここにも、岡山県内ですべてをまかなうことのできる
伝統の循環が生まれているのですね。

次は30年間続く、地元の方に人気の中華料理「一番」さんへ。
昨年6月に開催された散走フォーラムで特別にテイクアウト用を用意してくださった唐揚げをいただきます。
大ぶりにカットされた鶏肉はとてもジューシーで、コクのある味付けが特徴。
あまりにおいしくて、大将に「隠し味はなんですか?」と聞いたところ、
「ラーメン用のチャーシューを炊いたときの醤油を使ってるからね」と
教えてくださり、しばし歓談。
大将と奥さんのあたたかい人柄を感じ、
ちょっと真庭の人になれたようなうれしさを感じました。

傾斜の強い上り坂をがんばって乗り越え、到着したのはひるぜんワイナリー。
ひるぜんワインは、山葡萄で作られているここだけのワインで、
糖度が高く、酸味が少ない山葡萄ならではの濃厚な味わいが楽しめます。
山葡萄は粒が小さいだけに果汁が少なく、実をたくさん使用するため、
安定した数量を確保するのに苦労を重ねています。
工場長の本守さんに少しお話しを伺ってみました。

本守 一生さん(ひるぜんワイナリー工場長)

「蒜山の山葡萄を、通常のワインづくりの方法に習い、どうすれば一番の味わいを引き出せるかをずっと試行錯誤してきました。 フランス産やアメリカ産のオーク樽で熟成させるのも、長すぎると樽香が強くなるので香りとボリュームのバランスをはかりながら、毎年最高の品質をめざしています。山葡萄特有のコクと酸味、樽香との相性のよさを多くの方に楽しんでいただきたいです」

ワインになる前の山葡萄の原液を一口いただいたところ、
とても濃厚で甘みがグッと押し寄せる美味しさ。
蒜山の自然が育むチカラをここでも感じることができました。

ひるぜんワイナリーを後にして、私たち一行は最初の集合場所である道の駅へ。
これからは参加者みんなが集合し、チェックしてきたポイントを発表し合う予定です。
その様子は次回に!