Bibli「旧大宮図書館活用プロジェクト」❷

Bibli「旧大宮図書館活用プロジェクト」❷

Bibli「旧大宮図書館活用プロジェクト」❷

2022.07.27 更新

2021年にオープンした複合施設、「Bibli(ビブリ)」。ここは、約50年市民に親しまれた大宮図書館の移転・新設に伴い、残った建物の運営を民間に委託する、さいたま市初の公民連携プロジェクトとして誕生した複合施設です。この委託事業者を選定する公募に手を挙げ、採択に至ったのが、大人も子どもも楽しめる自転車イベント「バイクロア」を主催される松原さんを中心とした4社合同チーム。なぜ「自転車のバイクロア」が図書館の活用に参画したのか、さいたま市の福田さんと、現在ビブリを運営する「バイクロア」の松原さん、「キャンプサイト」の佐々木さんにお話を伺いました。

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「Bibli」旧大宮図書館活用プロジェクト 主要メンバー

株式会社キャンプサイト 佐々木 星さん(写真左)

キャンプサイトは建築設計からキャンプ場の運営まで手がける企画・運営会社。「Bibli」の施設管理、運営にも携わる。

一般社団法人バイクロア 代表 松原 満作さん(写真中央)

さいたまを中心に大人も子どもも楽しめる自転車イベント「バイクロア」を開催。「Bibli」の運営を行うとともに、同施設1階に「バイクロア」初の常設店をオープンした。

さいたま市大宮駅東口まちづくり事務所 福田 翔平さん(写真右)

市役所職員として、プロジェクト初期から携わる。

≪後編のお話≫

  1. 懐かしくも新しい、生まれ変わった「Bibli」の姿
  2. 大宮の魅力を再発見し、交流を生み出す
  3. 図書館のように、市民に愛される場所へ
Cyclingood
図書館から新しく生まれ変わった「Bibli」はどのような施設になったのでしょうか。
佐々木さん

リノベーションにあたっては、図書館の面影と新しさ、そのどちらも感じていただけるように設計しました。まずは外周を覆っていた植栽や塀を取り払い、シームレスな空間にしました。植栽はテラスやベンチの一部として再利用しています。

Cyclingood
内装へのこだわりは?
佐々木さん
館内1階は壁を取り払って開放的にリノベーションしました。テナントごとの壁も作らず、オープンで自由度の高い空間になっています。
福田さん
1階はずいぶん印象が変わりましたが、イスや机など図書館の名残りも多く、市民の皆さんにも懐かしさ・新しさの両面を感じていただけると思います。
松原さん

先日プレイベントとして、この広い空間を活用して子ども向け自転車イベント「キッズロア」を開催しました。館内をレース場に見立て、1階フロアを子どもたちが自転車で駆け抜け、普段はできない遊び方に子どもはもちろん大人も盛り上がっていましたね。

Cyclingood
現在どのようなテナントさんが入居されているのでしょう。
誘致する際の選定基準などはありますか?
佐々木さん
地下1階、地上3階の施設の1階には、地域の人に日常使いしていただけるよう、カフェや八百屋、パン屋、花屋などに入っていただきました。ローカルを大事にしながらも明確な選定基準は設けず、建物と同じく自由度を大切に、入居・出店を希望される方に合わせて「Bibli」らしさを育てていきたいと思っています。

ここで、「Bibli」1階のテナントを
少しだけご紹介します。

Full Bloom Flower

「お花のある暮らし」をコンセプトに、気軽にお花を楽しめる商品をそろえるフラワーショップ。大宮育ちの店長さんは、子どものころ旧大宮図書館によく通っていたそう。水道があった場所をそのまま生かし、レジカウンターとして活用しています。

Full Bloom Flower

MOUNTAIN DA CHERRY
〜Let's make it together〜

帆布を使ったオリジナルバッグブランド。「Bibli」の価値観に共感し、ぜひ新店舗を「Bibli」にオープンしたいと希望されました。バッグを販売するだけでなく、ワークショップを継続して開催するなど、お客さまとのコミュニケーションを大切にされています。

MOUNTAIN DA CHERRY 〜Let's make it together〜

松原さん

また、1階には「バイクロア」初の常設店を設け、入り口にサイクルラックを設置しました。週末には県外からも多くのサイクリストが来館してくださっています。毎月末にはマルシェを開き、地元のショップを中心にいろいろなお店に出店いただいています。

Cyclingood
自転車だからこそ、大宮の魅力と出合うさまざまな機会を作ることができるのですね。
松原さん
有名な観光スポットだけではない魅力が、大宮にはたくさんあります。自転車を活用することで、県内外の方に魅力を広く伝えたいですね。"現代版三河屋さん"、マイクロデリバリーでのコミュニティ作りもこれからです。
Cyclingood
そして、2階はオフィスフロアなのですね。
佐々木さん
はい。現在は地元企業が入居しており、今後はシェアオフィスやコワーキングスペースとしての利用も考えています。
福田さん
また、公募の要件の一つでもあったのですが、さいたま観光国際協会も入居させていただいています。
松原さん
観光協会に入っていただいたことで、「バイクロア」とコラボして、大宮を巡るポタリングマップやツアーなどの企画もスタートしました。「Bibli」によって、来館者同士だけでなく、私たち関係者と地域の方々など、さまざまな交流が生まれています。
Cyclingood
「Bibli」は2021年にオープンしたばかり。これからどんな方向に進んでいくのでしょう。
佐々木さん
プロジェクトが動き出したときに、「こんな場所になれば」とイメージボードを作ったのですが、ここに描いたようにお花屋さんやパン屋さんの入店が続々と決まり、イメージが一つずつ実現しています。ゆくゆくは屋上でヨガをしたり広場でライブを開催したり、想い描いたにぎわいを実現していきたいです。

松原さん

まずは地域住民も施設利用者も含めて、さらに交流を拡大していきたいと思います。また、「バイクロア」としては自転車イベントを継続して自転車の乗り方やルールを楽しみながら伝え、安全な交通環境の土台作りにも注力したいですね。

Cyclingood
図書館のように市民の皆さんが自然に集まる場所になっていくといいですね。
佐々木さん
実は、施設の利用には10年という暫定的な期限があるんです。ですからまずは市民の交流拠点、情報の発信拠点、観光拠点として親しんでいただいて、10年後には図書館のように「残してほしい」と思っていただけるよう、市と連携しながら育てていきたいです。
Cyclingood
では最後に、さいたま市としては「Bibli」のこれからに何を期待されますか?
福田さん

新しい大宮を発見したり改めて大宮を好きになったり、地域の人が「大宮に住んでよかった」と思える。「Bibli」がそうしたシビックプライドを醸成する場になれば、これほどうれしいことはありません。

「Bibli」を構成しているショップは、花屋、八百屋、
ベーカリーに帆布雑貨店...。
一見関係のないもののようで、それぞれがライフスタイルを提案し、
「大宮愛を育む」という共通の役割をもっています。
これらを地域の人に自然とつなぐのが、自転車です。

自転車で「Bibli」に訪れる、大宮を巡る、
カーゴバイクで地元の魅力を届け、交流を生む。
行動範囲を広げ、自由に道を選べる自転車だからこそ、
人と人、人とまちをつなげることができる。
こんな場所がたくさんの地域にあれば、
地域の個性がもっと際立ち、もっとおもしろくなる。

3名のお話を聞きながら、「Bibli」のある大宮がなんだか羨ましくなりました。
自転車を核としたこの新しいまちづくりが
どんな「大宮らしさ」に向かっていくのか、10年先が楽しみです。

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