Social ソーシャル
16
2019.02.06 更新
こころもからだも健康になることはとても大切なことですが、そもそも人は健康になるために生きているのではなく、
健康の先にある「幸せ」を求めているのだと思います。現代を生きる日本人は「個」に根ざした多様な価値観をもち、
それぞれが描く「幸せ」のあり方も三者三様。では、幸せに生きるというゴールに向かって健やかな心身が生み出す
ものとは何だろう?と考え、Cyclingoodが出したのは「知性」「感性」「社会性」でした。この考えについて
池永所長にインタビュー。健康と幸せの間にある「人力」の必要性について、お話をお聞きしました。

≪後編のお話≫
- 日本が得意な洗練された感性によるモノづくり。
- 想像力につながる感性は日々磨かれる。
- デジタル・ネイティブとそれ以上の世代の間にある「断層」。
- 幸せに生きるためのヒント。
先ほども自転車は感性が育まれるツールだとお話いただきました。
ええ。景色をとらえられる適度なスピードによる視覚、変化する匂いや音を敏感に感じ取る嗅覚と聴覚など、自転車を走らせる時間は、感性が磨かれる機会になると言えます。
そもそも感性とは、物ごとを心に深く感じ取る動き、外からの刺激を受け止める感覚的能力です。日本人の感性は非常に高く、モノづくりや芸術、文化において独自の洗練された感性を発揮してきました。
では日本的感性とは何か。それは相手を想像することを起点とした発想やモノづくりにあります。
刷り込まれていくものです。突然身に付くわけではない。
日々の生活の中で見るもの、味わうもの、触れるものを心を澄ませて受け止めることで五感は磨かれていきます。
例にあった想像力にもつながっていく気がします。
想像力をふくらませることで、仕事も人間関係にも
ゆとりを生み出すかもしれません。
この心のゆとりこそ、現代人が求めているものですね。
自転車は移動範囲を広げることで、あらゆる関わりをつくる、
つなげるという特長があると思っています。
人との関わりによっていろいろな自分の居場所をもつことは人生における充足感や幸福感につながっていきます。
しかしその居場所が、同世代の人々、自分の価値観に合う人に限定していては、進歩は生まれません。
所属していても発展性がないと。
日本の人口を100人とした場合、高齢者は27人、子どもは13人となり、世代間によるデジタルスキルの差が大きく開いてきています。
これも先ほどの情報革命による影響のひとつですね。
駆使できますからね。
子どもはおろか、20~30代を中心としたデジタルネイティブ世代と、
それ以上の世代の間に「断層」が生まれています。
この断層とは、世界観や感性、仕事観、思考法、行動法などにおける大きなギャップです。
考え方やアプローチが異なっているということですね?
同年代や同じ価値観の者同士で集まるのではなく、
あらゆる世代、性別、職業、人種が集い、対話できる場にいることで
それぞれの違いを理解し、認め合うきっかけになり、
それが個々の強みを発揮できることにつながっていきます。
そしてその人、世代ならではの
何らかの強みが浮き立ってくる気もします。
そうでしょう。どれほどテクノロジーが進化しても、リアルな場と体験は人間が健全に生きる上で絶対に切り離せません。
考えるチカラ、感じるチカラ、人とつながり協働するチカラを身に付けることは、その人の人生を豊かにします。
そしてその中で「分(ぶん)」、つまり自分の本質やなすべき役割をしっかりと自覚し、家族やコミュニティの中で何を果たせるのかを考え、行動することが幸せに生きるヒントになると私は考えています。
「社会性」は、あらゆる人との対話によって進歩していくものである。
この池永さんのお話は、漠然としがちな感性と社会性の
あるべき姿をくっきりと浮き立たせ、
本質的な価値を感じることができました。
「知性」「感性」「社会性」という人力を、
自転車が育んでいく可能性は大いにあります。
スマホを置いて自転車で寄り道をしながら自分の感覚を澄ませ、
新しい人との関係性をオープンにしていく。
そんな日々を大切にすることが、
一人ひとりの幸せにつながっていくと容易に想像できます。
池永さん、有意義なお話ありがとうございました。
おすすめコンテンツ Life
-
散走が変える社会〜『タイパから離れて地元愛を育む』
全2話 2024.04.17 更新
-
「松本・安曇野サイクルロゲイニング2023」
全2話 2023.12.27 更新
-
田代さんの「安全という土台を作る、ガイドの役割」
全2話 2023.08.02 更新
-
松本さんの「人力でまわす、自然の循環」
全3話 2022.11.02 更新
-
Bibli「旧大宮図書館活用プロジェクト」
全2話 2022.07.27 更新
-
吉田先生の「安全に走れる自転車環境づくり」
全2話 2022.04.13 更新
-
ブラッキー中島さんの「守りたい」こと。
全2話 2021.09.22 更新
-
荒武さんの「東伊豆町稲取のまちづくり」
全2話 2021.07.16 更新
-
三国さんご夫婦の「自転車施策とこれから」
全3話 2020.02.07 更新
-
松本さんの「西伊豆古道再生プロジェクト」
全3話 2019.05.24 更新
-
藤本さんの「自転車安全教育プログラム」
全2話 2018.09.21 更新
-
西川さんの「ちきゅうの教科書」
全2話 2018.05.25 更新
-
自転車を活用した「健康づくり事業」
全2話 2018.02.23 更新
-
高橋さんの「Cycling for Charity」
全2話 2017.11.24 更新
-
勢和中学校の「コミュニティ・スクール」
全2話 2017.10.06 更新
-
花王和歌山工場の「自転車通勤モニター」
全2話 2017.06.23 更新
-
おとなとこどものじてんしゃ運動会「バイクロア」
全2話 2017.01.30 更新
-
住民に向けた「健康増進プログラムの開発」
全2話 2016.12.27 更新
-
愛媛県の「自転車ツーキニストモニター事業」
全2話 2016.04.27 更新
-
「自転車のまちづくり」のための地域交流会
全2話 2016.04.08 更新
-
社会を変える「ハンドバイク」の可能性
全2話 2016.01.12 更新
-
「健康経営」の最前線を行く、株式会社フジクラ。
全2話 2015.09.24 更新
-
岡山県真庭市 自転車の街づくり
全3話 2015.06.26 更新
-
トメル+ミセル@アオヤマの取り組み
全1話 2015.03.23 更新
-
社員の健康づくりを後押しする、IT企業の今。
全1話 2015.01.22 更新