自転車を活用した「健康づくり事業」❷

自転車を活用した「健康づくり事業」❷

自転車を活用した「健康づくり事業」❷

2018.02.23 更新

岡山県真庭市の健康福祉部健康推進課が、自転車を活用した住民向けの健康づくりに取り組まれています。
3カ月を1期間としてメンバーを募り、自転車を貸与して日々の生活に自転車を活用してもらうとともに、
月に一度はみんなで集まり、健康教室やサイクリングを実施されている様子。このような活動には比較的年配の方が参加されるケースが多いですが、この事業ではあえて「35歳以上」として子育て世代にも参加しやすい内容にされています。
その狙いや活動の中身を確かめるべく、第3期モニターの最終日にうかがいました。

what's
what's
真庭市役所 健康福祉部 健康推進課による
「自転車を活用した健康づくり事業」
地域住民に健康づくりを推進するため、自転車を活用したプログラムを提供。2016年に第1期、2017年に第2期・第3期を各3カ月(第1期のみ6カ月)で実施した。プログラムは1カ月に一度、参加者が集まって体調チェック、大学講師による健康教室、サイクリングを行う内容で、理論と実践を兼ね備えているのが特徴。また、35歳以上の子育て世代を対象にし、そのフォロー体制にも注力している。

≪後編のお話≫

  1. 参加者おふたりに感想を聞いてみました。
  2. 健康推進課さんインタビュー:この活動をはじめた背景。
  3. 健康推進課さんインタビュー:「自転車」と「若い世代」への思い。
  4. 健康推進課さんインタビュー:真庭市の未来は住民の健康があってこそ。

それでは最後のプログラムを終えたばかりの参加者の方に、感想をお聞きしてみましょう。
若い世代のおふたりに
参加の動機や自転車に対する印象についてお話いただきました。

スポーツバイクの経験はなく、このプログラムで初めて乗りました。想像以上に気持ちよく、楽しく走れたのが良かったですし、妻も一緒に参加できたのも良い経験になりました。
参加を考えたのはダイエットをしないとと感じはじめていたからですがこの経験を生かして自転車生活を続けたいと思っています。いつかは自転車イベントにも参加してみたいですね。

スポーツバイクに興味があったわけではなかったのですが職場の人に勧められて参加を決めました。痩せたいという思いとともに、子どもも一緒に参加できるというのはなかなか無い機会だったのでちょうどよかったです。このプログラムに参加して、自分の身体の衰えを実感し、身体を動かすことの大切さを改めて感じましたね。

とても満足されているお二人のコメントでしたが、
このようなプログラムを練り上げ、イベント実施をすべて担当されている立役者が健康推進課の皆さんです。
栄養士、保健師、保育士がいる5名のメンバーが中心になり、
すべて手づくりで行われているこの活動についてお話をお聞きします。

Cyclingood
まずは住民向けに自転車を活用した健康づくりプログラムを
提供されるに至った背景を教えていただけますか。
健康推進課さん
真庭市全体の課題として、肥満の人が多い傾向にあります。
これは山間部特有のクルマを使う習慣が定着していることが
大きな理由であると考えています。

Cyclingood
なるほど。確かに移動にはクルマが無いと難しい環境ですね。
健康推進課さん
この状況が問題意識となって、地域の実行委員会が中心となり
これまでもさまざまな活動を行っていきました。
運動教室を地域ごとに行ったり、食育をテーマにしたイベントなども行ってきました。
しかし自転車を活用したことは一度もなかったのです。
Cyclingood
どうして「自転車」に着目されたのでしょう。
健康推進課さん
自転車にはさまざまな価値があることを知り、住民向けの健康推進として利用してはどうかという声が上がりました。同時に若年層にしっかりアプローチできていないという反省も浮き彫りになりました。

Cyclingood
今回は対象を35歳以上として子育て世代を意識されていますが、
それはどうしてですか?
健康推進課さん
健康系のイベントは、参加者のメインが60代以上になりがちです。
若い人に将来的な自分の身体、健康を考えてもらうきっかけにしたいと思い、あえて働き盛りの世代を意識しました。
それに自転車であれば、若い世代にも魅力的でマッチしやすいと考えたのです。
Cyclingood
つまり「今」の健康だけでなく、「未来」の健康を作ることも市の取り組みとして重要だと考えられたわけですね。
健康推進課さん
その通りです。真庭市の若い世代が生涯にわたって健康であり続けることは真庭市にとってとても重要な財産になります。
メタボ検診は40代からなので、それまでに健康レベルを上げてもらいたいという思いがありました。

Cyclingood
大学の教員を招いて健康教室をされているのがなかなか珍しいのではないかと拝見していて感じました。この狙いは何なのでしょう?
健康推進課さん
大学の先生の専門的な知見を取り入れることによって、日々の運動習慣の重要性をより客観的に理解でき、行動変容につながりやすくなると考えたからです。
運動しなければいけない理由やどのように取り組むべきかを
専門家からお話いただくと、理解の質が変わりますよね。
Cyclingood
なるほど、おもしろいですね。
さらに子育て世代が参加しやすいよう、お子さんを預かることまで
されていたのは驚きでした。
健康推進課さん
子どもさんにとってここが月に一度の楽しい場所になれば
お父さん・お母さんも一緒に家を出やすく、家族全員が気持ちよく参加できます。
35歳以上を対象にするなら、お子さんのケアは避けて通れないことだと思いますね。
私たちには保育士の資格をもつスタッフがいるため、安心して参加いただけお母さんにとっても楽しみな場になったようです。

Cyclingood
先ほどお聞きしたお二人も楽しかったと喜んでいらっしゃいました。
参加者の反応をどのように感じていますか?
健康推進課さん
「人生が大きく変わった」「仲間づくりのきっかけになった」「腰痛が治った」など意見はそれぞれですが、皆さんに自転車の楽しさを提供できた手応えはあります。
自転車を購入された方が参加者全員の25%というのも
ひとつの成果ではないでしょうか。
Cyclingood
やはりこのプログラム参加で終わらせず、
今回の経験を今後の生活に長く生かしていただきたいですね。
健康推進課さん
自転車は仲間と一緒に出かけて体験を共にしやすいことが
継続しやすい理由のひとつだと思います。
今後も真庭市の自然環境を生かしたこの取り組みを継続させ、
個人の健康レベル・健康リテラシーの向上につなげていきたいと考えています。

健康推進課のスタッフの皆さんも、
全員が自転車の乗り方やルールを学び、このプログラムに挑まれたそう。
スタッフ自身が感じた
「自転車って楽しい」「気持ちいい」「継続しやすい」という思いが、
しっかりと伝わっているからこそ、参加者皆さんにとって
「参加してよかった」と感じられる経験となっているのではないでしょうか。

そして「真庭市の未来をつくるため」の健康づくりであるという
力強い言葉はとても印象的でした。
町の未来をつくる基盤は、何よりも住民の健康。
その思いがこのアイデアの詰まったプログラムにつながっているのだと思います。
これからも自転車を活用した健康づくりを住民の皆さんに
伝えてもらうことを期待しています。

おすすめコンテンツ Life