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愛媛県の「自転車ツーキニストモニター事業」2
2016.04.27 更新
CO2排出量削減のため、さまざまな地球温暖化防止対策に取り組んでいる愛媛県。
県内の事業所に向けた啓発活動をはじめ、再生可能エネルギーの導入、バイオ燃料の利用拡大などに積極的に取り組む中で、この度行われたのが「自転車ツーキニストモニター事業」です。愛媛県内の事業所に呼びかけてバイクやクルマから自転車通勤への転換を促し、CO2排出量削減をめざしたこの事業。
環境と健康づくりのための自転車通勤という新たなアプローチについておたずねしてきました。
開局62周年を迎える愛媛県を代表するテレビ・ラジオの兼営放送局で、
今回の自転車ツーキニストモニター事業には4名の従業員の方が参加されました。
全員男性で、その参加者のうちのお一人が、このモニター事業を社員の方に紹介し、
窓口業務も担当された総合企画局の池内さん。
どうして南海放送さんがこのモニター事業に参加されたのか、
ご自身が通勤に自転車を使うことでどのような変化を感じられたのか聞いてみました。
なぜ自転車ツーキニストモニター事業に応募されたのですか?
弊社はラジオ・テレビの兼営放送局ですが、放送だけでなく地域とのつながりを重視して多くのイベント実施に関わっています。2015年の10月には「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会」の番組制作を行い、愛媛県が推進している自転車に関連する取り組みなども「Let's サイクリング」という番組で取り上げています。
もともと、うちの社員は比較的自転車やエコへの関心が高いと感じていたので環境政策課さんからのパンフレットを見たときに「これは参加せざるを得ない!」と直感しました。
仕事柄時間が不規則だったり、打ち上げ等で外食の機会が多いことから社員の健康づくりに何かしたいと考えていたところだったのです。自転車通勤であれば、新たに時間を割かなくても実践できますからね。
特に自転車関連の番組制作に関わっている社員は予想通り積極的に参加してくれましたね。
あるスタッフは高台の新興住宅地に住んでいるため、帰路がかなりキツイらしいのですが「初日から上りきった!」と即座にメールが飛んできました。
池内さんご自身もモニターとして参加されたそうですが、いかがでしたか?
良い面としては通勤前後で気分が変わること。リフレッシュ効果の?さですね。
もちろん健康維持に役立つことや、通勤時に交通渋滞に巻き込まれずに時間通りに移動できるという魅力についても改めて実感しました。
自転車とクルマ、どちらにも運転マナーの悪さを感じたり、道路整備の必要性を痛感することが多かったです。
今後の動きに期待したいですね。
モニター終了後も実は自転車通勤を続けているんですよ。
通勤用の自転車にドロップハンドルやビンディングペダルを付けて、さらに泥よけも付けました。
おかげで雨の日も汚れを気にせず、快適に走っています。
3名の参加者の方が仕事の合間を縫ってインタビュールームに。
さっそくお話しをうかがってみましょう。
とにかく軽くてスピード感もあって楽しかったです。
片道10kmほどなので「いけるかな」とは思ったのですが、夜勤明けで乗るのはイヤだなあと。そんなスタートでしたね。
あまりに急勾配の坂を上らないといけないため、池内さんからお話しをもらったときも最初は「ムリ」と言ってたくらいなんです。以前自転車でこげなくなって押して帰ったことがあったので。
でもまあクロスバイクだったら「できるかも」という期待もありました。
それでは2カ月半近く通勤に利用されて
健康面や体調の変化をどのようにお感じですか?
体脂肪や体重がどう変化していくのかと興味をもっていました。
このモニター期間で900kmほど走り、不思議と間食をしなくなって結果体重が3kgほどダウン。
それに加え、仕事にスッと切り替われるようになったのが良かったです。
バイクで通勤していたときは眠さが残って頭が動いていない感じでしたが自転車だと脳が覚醒するのでしょうか。スッキリ感が違いましたね。
そんなときは遠回りして距離を延ばしたりと工夫をして、体重は2kg減少という結果に。
自転車で走っているときになぜか考えごとの整理ができて、気分が軽くなったように感じていました。
それにモニター期間中の約2カ月で2kg体重が落ちて、その後も減少しているんですよ。
筋力がついて代謝が上がったのかもしれませんね。
当初は「ムリだろう」と思っていたのですが、軽いギアを使うといいとアドバイスをいただきクルクルと回転させてひたすらこぎ続けました。達成感は大きかったですね。
それでは私たち取材班は、次に松山ライオンズクラブ合同事務局さんへ。
ここでの参加者は女性ばかりの3名です。
最初はfacebookでこのモニターのことを知って、「いいなあ」と思いまして。
私はロードバイクをもっていて、しまなみ海道サイクルトレインにも参加した経験があるので自転車の楽しさをみんなに知ってもらういいきっかけになると思い、声をかけました。
「自転車をもらえるかもしれないよ」って(笑)
それと膝の痛みを抱えているのですが、自転車なら膝への負担の心配なく筋力をつけられます。そういう意味でもモニター参加には前向きでしたね。
渡部さんたちに「私でもできるかな」と相談をして、まずはモニターなら自分に合うか試せるからと参加することにしました。
段差も怖くないし、小回りもきくし、スタンド付きなら自由に止められます。
職場から家に向かっている間に、仕事を引きずらずに自然と気持ちを切り替えられるのも新しい発見でした。
私は普段クルマ通勤だったのですが、クルマだとなんだか家の空気を引きずってるような気がするんですよ。
そういうのが自転車にはまったくないですね。
これからは通勤だけでなくもっと乗れる機会を増やしたいです。
モニター期間だけで体重は少し減り、筋肉が若干ついた気がします。身体が変わって自信もついて、「まだまだ人生いけるやん」と思えたのはうれしいですね。
この地域ならではの手の込んだお料理をいただいて、農家のおばさんたちとお話ししておいしくて、楽しくて、すごくパワーをいただいたんですよ。
自転車だから出会えることやモノがあるんだと気づいてこういう場所にまた行きたい、もっと行きたいと思っています。
この2人と一緒にあの感動を共有したいんです。
だからお願い、自転車が当たりますように!(笑)
最後は大爆笑に包まれた松山ライオンズクラブ合同事務局の皆さんのお話し。
体重や体脂肪への影響よりも、自転車がもたらす気持ちよさや楽しさに
とても共感されていることが伝わってきました。
後日談ですが、なんと白石さんに自転車が当選し、土居さんは自ら購入して
渡部さんたちと一緒に「LIONS OFFICE サイクリングクラブ」を結成されたのだとか。
2カ月に1度のペースで、50km程度のサイクリングをしつつ
遠方にも行ってみたいとお考えのようです。
これからも自転車を通じたさまざまな出会いを楽しんでくださいね。
この「自転車ツーキニストモニター事業」の目的のひとつである
温室効果ガス削減の効果は数値化され、わずか40名でもクルマやバイクから自転車に変えるだけで環境にもたらす好影響がどれほど大きいかを実感できる結果となりました。
この事業がもたらしたのはそれだけでなく、参加者全員が
愛媛の道を、風を、風景を通じて愛媛ならではの魅力を改めて感じられたことではないでしょうか。
住民の皆さんひとり一人がこうして地元愛を深めることが、
「自転車新文化の創造」の実現を後押しするのだと思います。
今後の愛媛県の取り組みに、ますます注目です!
この事業のもうひとつのテーマである「環境面」への貢献については以下のとおり。ガソリンを使うクルマやバイクから自転車に変えた結果、距離に換算すると日本列島縦断3往復分を走ったことに相当し、2カ月半×40名=2,645kgほどのCO2排出量を削減できたことに。 ひとり一人の日々の積み重ねが大きな成果につながることがよくわかります。
- この距離をクルマで利用した場合、
ドラム缶約9本分相当の
ガソリンを使用。
価格に置き換えると、トータルで
約25万2千円
(1人当たり約6,300円)
節約できたことに!
-
削減できたCO2量は、
年間1人あたりのCO2排出量に相当。
これを1年間継続すると
1人当たりのCO2削減量は
1人あたりの年間CO2量の約11%に!※一人あたりの二酸化炭素排出量(2013年度)
約2,300kgCO2/人