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2023.10.04 更新

運動が続く人とそうでない人の差は、
楽しさを見いだせているかどうかにあるようです。

では、どのような楽しさがあれば、
運動が苦手な人、挫折した経験がある人でも
運動を続けることができるのでしょうか。

監修: 産業医科大学 産業保健学部 人間情報科学
江口 泰正 教育教授

Health Interview

運動継続理由の得点比較(性別,年齢,職務,職種調整後)

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上記のグラフは、働く人を対象としたアンケートの集計結果です。

忙しくても運動が続く人は、どのような継続理由をもっているか?
その理由を調査するため、
回答者を「運動を6カ月以上続けている『運動継続群』」と
「ほとんど行っていない『運動非継続群』」に分け、
運動の継続理由についてあてはまるものを複数回答で答えてもらいました。

非継続群には、運動しているという想定で回答してもらっています。
結果、両群ともに得点が高かったのは
「体力を維持・改善したいから」
など健康に関する項目。
運動が続いていない人も、運動の必要性は重々承知しているようです。

一方、運動が続いている人の推定平均値が非継続群よりも有意に高かったのは、
「運動そのものが楽しい」「達成感が味わえる」など、
楽しさや高揚感に関する項目でした。

この結果から、「健康のために運動しなくては」と思うだけでは、
ほとんど継続にはつながっていない可能性があります。
「健康のため!」よりも、「楽しい」と心が動く瞬間を取り入れ、
運動したくなる仕組みを作る方が継続の近道
になるかもしれません。

運動継続因子別の標準化得点(性別,年齢,職務,職種調整後)

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この調査では、データ①の項目を5つの因子に分類し、各因子の特色から、
「楽しさ・高揚感」「依存・自尊」「外観・陶酔」「健康利益」「飲食的充足」
命名しました。運動が続いている人と続いていない人、
両群の得点差(標準化したもの)の比較を見てみましょう。
「楽しさ・高揚感」は続いている人が有意に高く、顕著な差が表れました。

一方、「運動すると食事がおいしい」といった
「飲食的充足」は継続群はマイナスの得点。
これは、運動後の飲食による充足感を目的にはじめたとしても
徐々に運動自体の楽しさが上回り、
続けるうちに重要ではなくなった可能性が考えられます。

ただし、非継続群は継続群より有意に得点が高いことから、
まずは運動後の飲食を目的にしてみるのは、
楽しみを見つけるひとつのきっかけ
にはなるかもしれません。

遊びの4要素

また、社会学者カイヨワによると、「遊び」がもつ楽しさには
アゴン(競争)、アレア(運)、ミミクリー(模倣)、
イリンクス(めまい)の要素があると言われます。
これら4つの要素を意識することも、継続をサポートしてくれると考えられます。

例えば、アレアは偶発性とも言え、自転車ならコースをランダムに選ぶことや、
偶然の出合いなどで味わえるかも
しれません。
ミミクリーは手本となる人のまねをする。
通勤ルートで、自分の前を自転車でさっそうと走る人を
見かけたら、その人のまねをしてみる
のもいいでしょう。
イリンクスは自転車で風を切りながら下り坂を走るなど、
意識的に取り入れることができそうです

運動しようと思ってもなかなかはじめられない...。
また挫折してしまった...。
こんなループに陥りがちな私たちに必要なのは、
「運動しないと」という思いを一度手放すこと。
それでいいの?と思うかもしれませんが、
まずは楽しもう!という姿勢が大切なのかもしれません。

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