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やらない理由とサヨナラ! "楽しさ"からはじまる好循環。 ➊
運動しないと。続けないと。頭では分かっていながらも、忙しいから、今日は気分が乗らないから...、と何かと理由を見つけてなかなかできない・続かないのが運動習慣の現実。
今回は、この状況を断ち切る「楽しさ」について、産業医科大学の江口先生と考えていきます!
2023.9.13 更新
産業医科大学 産業保健学部 人間情報科学
江口 泰正 教育教授
1986年、福岡教育大学大学院修士課程教育学研究科修了。2014年より産業医科大学産業保健学部人間情報科学准教授、2022年より現職。日本健康教育学会理事ほか。専門は健康教育・ヘルスプロモーションや体力科学。
前編のお話
- ① 気持ちはあるのに、どうして運動は続かない?
- ② 続けるために大切な、「楽しさ」のこと
- ③ 運動が苦手でも、習慣がなくても大丈夫?
運動の必要性は分かっていても、なかなかできない、続かない。この状況はどうして起きるのでしょう。
その「運動しないと」という発想に問題があるかもしれませんね。例えば子どもは、かけっこをしたりブランコや滑り台を使ったり、1日中でも思い切り遊んでいます。その子に「どうして走るの?」と聞いても、きっと「健康のため」とは答えないでしょう。
確かに、きっと楽しいから遊んでいるでしょうね。
大人だって同じこと。楽しくなければ、何事も続きません。私は、運動をする時間が取りにくいはずの働いている人を対象に、運動の継続理由を調査したことがありますが、その結果、運動継続群は非継続群よりも圧倒的に「楽しさ」を期待している割合が高いことが分かりました。
「楽しさに期待している」とは、どういった意味でしょうか。
「健康になりたいから」よりも、「楽しみがあるから」運動が続いている、と考えられます。調査の結果を詳しく見ると、継続群と非継続群のどちらも、「体力を維持・回復したいから」など健康に関する項目は共通して高くなっていますが、両群には大きな違いはありませんでした。
では、運動が続いている人は、健康に加えて「楽しさに期待している」...?
そうです。継続群は「運動そのものが楽しい」「達成感が味わえる」などの項目が非継続群より顕著に高くなっていました。楽しいから運動を続けている、多少忙しくても楽しければ運動が続けられる、ということでしょう。
でも、運動が苦手な人や運動習慣のない人でも、楽しさを見つけられるものですか?
アスリートのように結果を求めるのではなく、ゆるやかな楽しさを感じられればOK。実は、運動自体に楽しさを見いだせなくても大丈夫なのですよ。
運動以外では例えばどんなことでしょう?
人との交流が好きだから、運動後のご褒美があるから...、など、本当に何でも良いのです。まずは自分がどんなことを楽しいと感じるか、探してみることからはじめましょう。
楽しさと一口にいっても、さまざまな種類があるのではないでしょうか。
そうですね。色々な切り口がありますが、今回は大きく5つの要素を紹介しましょう。一つずつ説明しながら、運動にどのように取り入れれば良いか考えていきます。
「健康のために」という考え方こそ、
実は運動継続を妨げているのだと江口先生は話されます。
中編では「運動しなくちゃ」からはじまる
負のループを断ち切る5つの楽しさについて、
江口先生とさらに詳しく考えていきます。
実は運動継続を妨げているのだと江口先生は話されます。
中編では「運動しなくちゃ」からはじまる
負のループを断ち切る5つの楽しさについて、
江口先生とさらに詳しく考えていきます。