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Data.14"気持ちよさ"がもたらす脳へのメリット。
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2021.05.28 更新
気持ちとは、比較的短い感情の動きですが、
その影響は脳の認知過程にも関わっています。
「気持ちいい」時間の創出によって得られる
脳へのメリットを考察します。
監修:中京大学 工学部 機械システム工学科 井口弘和教授
気分一致効果
アメリカの心理学者バウアーらが、
被験者を催眠によって「楽しい」または「悲しい」気分にし、
物語を読ませる実験を行いました。
次の日に自然な状態で物語の内容を思い出してもらったところ、
楽しい気分で物語を読んだ被験者は楽しい内容、
悲しい気分で物語を読んだ被験者は悲しい内容を
より多く覚えていました。
これは、「記憶」が「記憶するときの気分」に
影響される ことを示しています。
気分状態依存効果
同じくバウアーらの別の実験では、
覚えたときと思い出すときの気分が一致しているほうが、
不一致の場合とくらべて記憶成績がよくなることが指摘されています。
同じように被験者を催眠によって「楽しい」または「悲しい」気分にし、
単語リストを記憶してもらいます。
楽しい気分で記憶した場合は、
悲しい気分よりも楽しい気分で思い出したときのほうが成績がよく、
悲しい気分で記憶した場合は
悲しい気分で思い出したときのほうが成績がいいという結果になりました。
どちらの実験も、記憶する内容がそのときの気分に影響され、
ネガティブ感情ではネガティブな情報を掘り起こしてしまうという結果でした。
では、この「脳の特性」をうまく利用するために、
ポジティブな感情をつくる自転車走行について紹介します。
ペダルをこぐペースの違いによる感情の比較
速こぎ・普通・遅こぎの3種類のペースで各30分間自転車をこぐ実験を行い、
自転車走行中の気分を確認したのがこの分布図です。
ペダルをこぐテンポが速いほど感情は覚醒し、遅いほど鎮静に近づきますが、
どのテンポでもポジティブな印象が多く、
自転車をアップテンポで走らせると前向きな気分になっていることが分かります。
自転車走行によっていろいろな気持ちよさをつくることは、
「脳の特性」をうまく利用し、
ポジティブな気持ちを持続させることにつながります。
自分の状態に合わせて、いま感じたい「気持ちよさ」をつくり、
感情を上手にコントロールしていきましょう。