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2022.12.26 更新

私たちが生まれてから現在まで
絶えず行っている呼吸は3種類に分類され、
そのひとつは感情と深く関わっています。

生きるために重要でありながら普段意識しない呼吸について、
その役割と、メンタル、そして運動との関連を見ていきます。

監修:東京有明医療大学 保健医療学部 髙橋 康輝 准教授

Health Interview

呼吸中枢と呼吸の種類

呼吸は脳から呼吸筋への指令で行われ、生命維持のための「代謝性呼吸」、
行動によって変化する「行動性呼吸」、
喜怒哀楽によって変化する「情動呼吸」に分類されます。
このうち「情動呼吸」は感情と同じ場所から生まれるため、
不安や悲しみによって呼吸がハッハッと乱れるように、
感情が呼吸に影響を与えます。

さらに、呼吸が浅いと一度に取り込める酸素量が減少し、
不足分を補うため呼吸数が増加。
この浅くて速い呼吸によって、不安が増幅されます。
現代はストレスなどが原因で呼吸とメンタルの悪循環が起こり、
「浅くて速い」呼吸の人が増加しています。

反対に、呼吸を意図的に「深くゆっくり」行うことで、
呼吸から脳へ「リラックス状態である」という信号を送ることもできる
のだそう。
その詳しい内容を、次の実験データから解説します。

特性不安と呼吸数の関係

呼吸とメンタルの関係を実証するのが、
上記の被験者の特性不安と呼吸数を測定した実験データです。
特性不安とは個人の性格に由来し、
ストレスがかかったときに不安になりやすい性質のこと。
データを見ると、「不安を感じやすい人ほど普段の呼吸数が多い」、
つまり、「浅くて速い」呼吸になっている
ことがわかります。

状態不安と呼吸数の関係

呼吸数を増やす要因の一つに呼吸筋の硬さが考えられます。
では、呼吸筋の可動域が広がるとどうなるか、データ③と④から見ていきます。

データ③は場面によって変動する状態不安と呼吸数を測定。
やはりストレスや不安を感じている人ほど呼吸数が多いという結果が出ました。
この被験者に、呼吸筋を動かすストレッチを行ってもらい、
ストレッチ前後の数値を比較したのが下記のデータ④です。

呼吸筋ストレッチ体操実施前後の変化

数値を比較すると、不安スコアと呼吸数、
どちらもストレッチ後に低下しました。
ストレッチによって呼吸筋の可動域が広がり、
呼吸が深くゆっくりになったことで、
比例して不安感も改善
されたと言えます。

ストレスを感じたら、あえて深く呼吸する。
運動やストレッチによって、深い呼吸ができるように
呼吸筋の可動域を広げておく。
ストレスの多い現代、心身の健康を保って
いつでも良い状態をキープするために、
呼吸は重要なスキルと言えそうです。
ぜひ、深くゆっくりな呼吸を意識してみてください。

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