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やる気につながる、体力新事実。 ➊
「体力」と聞いて何をイメージしますか?いざというときの瞬発力、持続できるスタミナ、もしくは病気にならない身体を思い浮かぶ人もいるかもしれません。実はこれ、すべて「体力」。体力はさまざまな要素で構成され、中でも「行動体力」に分類されているのが実際に計測でき、強化できる体力です。自転車でどんな体力を向上できるのか、星川先生に教えていただきます!
2018.07.30 更新
常葉大学 健康プロデュース学部 心身マネジメント学科
星川 秀利 教授
1993年早稲田大学大学院人間科学研究科修士課程修了。1993年武蔵丘短期大学健康生活科、2009年より浜松大学(現:常葉大学)健康プロデュース学部心身マネジメント学科にて教鞭をとる。研究分野は運動生理学、スポーツバイオメカニクス。
前編のお話
- ① 体力とは?
- ② 今からでも向上できる5つの行動体力。
- ③ 体力は加齢によって大幅にダウン!
- ④ 体力レベルを知る簡単なテストの方法。
先生、「体力」ってなんとなくイメージできますが
多くの人が実態をよくわかっていないと思うのですが...
多くの人が実態をよくわかっていないと思うのですが...
確かにそうかもしれませんね。一般的には持久力や筋力、瞬発力を想像する人が多いでしょう。しかしこれらの機能は体力を構成する一部に過ぎません。体力は「身体的要素」と「精神的要素」の2つに分類され、それぞれに活動の基礎になる「行動体力」と生存の基礎になる「防衛体力」に枝分かれしているのです。
体力はさまざまな要素で構成されているのですね。
ええ、そうです。ストレスに対する抵抗力や、行動を司る意志・判断・意欲も体力の一部です。さらに身体的要素の中には、体格、姿勢、器官や組織の構造、免疫機能なども含んでいます。
ということは、体力は運動に関する機能だけでなく、
生体としての活動レベル全般に関わっているのですね。
生体としての活動レベル全般に関わっているのですね。
そうですね。この分類には諸説ありますが、概ね同様の考え方です。そして、多くの人が想像するであろう筋力や持続力などの「体力」は、身体的要素の中の行動体力の機能として位置づけられています。この内訳にも諸説ありますが、筋力・敏捷性・平衡性・協応性・持久性・柔軟性の5つを含んでいるケースが多いです。
確かに、この5つは多くの人がイメージする
「体力」ですね。
「体力」ですね。
この5つは測定できる、つまり自分のレベルを把握できること、そしてトレーニングなどによって強化できるという特徴があります。ところが大人になると学校で行われていたような体力測定の機会がほとんど無いため、自分の体力を客観的に知ることが難しいのです。
本当だ!健康診断はあっても、
社会人になってから体力測定は一度もしていないです。
社会人になってから体力測定は一度もしていないです。
そういう方が多いでしょうね。しかし、体力の加齢による変化を研究したデータでは、20歳のときの体力を100%とした場合、60歳ではおよそ40~60%にダウンしています。この体力とは握力、反復横跳び、脚筋力、腕立て伏せなど一般的な体力測定で行われる項目で、下降ラインは30歳の頃からスタートしています。つまり何もしなければ加齢によって体力はどんどん低下してしまうのです。
先生、自分の体力を知る簡単な方法があれば
教えてもらえませんか?知りたくなってきました。
教えてもらえませんか?知りたくなってきました。
家庭でできる簡単な方法として、片足立ちテストはどうでしょう。目を開けてまっすぐ立ち、どちらでもいいので片足を上げてそのままキープして何分維持できるかというテストです。65歳以上の方の平均は48秒という結果があり、満点のタイムは2分です。これは脚筋力と平衡性(バランス力)を確認するものです。
2分もキープできるか不安です(笑)。
これらの体力は自転車でも維持・向上できるのでしょうか?
これらの体力は自転車でも維持・向上できるのでしょうか?
もちろんです。自転車運動は下肢を大きく動かすことが大きな特徴なので、脚筋力、全身持久力、さらには平衡性と敏捷性の向上が期待できます。すぐに息が上がってしまう、疲れやすいということを自覚しているなら、自転車を活用して日常的な運動を取り入れていただきたいですね。
どのような自転車運動でさまざまな体力アップにつながるのか、気になるハウツーは後半にてお伝えします!