2017.03.15 更新

玄関を出たら旅になる。
自転車とカメラが連れていく世界。

編集者として、フォトグラファーとして活躍中の石川さん。
カメラを携え町を走る、自転車と写真を掛け合わせたオリジナルのワークショップを積極的に行われ、その楽しさを多くの人に伝えていらっしゃいます。今回はCyclingood版ワークショップを特別に行っていただき、そのレポートとともに石川さんが多くの人に伝えたい「自転車×カメラ」の魅力を探っていきます。

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profile編集者・フォトグラファー
石川 望(いしかわ のぞむ)

自転車雑誌「Bicycle Magazine」の編集長、「Bicycle Navi」の編集に関わったのち、自転車と写真をテーマとした「Bicycle Photo Magazine」を立ち上げた編集者兼フォトグラファー。国内外のレースや自転車旅での写真撮影、フォト×サイクリングのワークショップなど、自転車と写真・カメラに関係するさまざまなアクションを行う。

自転車とカメラを組み合わせたCyclingood版ワークショップが行われたのは
キンキンの寒さが沁みる2017年1月某日。
待ち合わせ場所に入ると石川さんとワークショップ初体験となる矢野さん・荒尾さんの3人で
何やら話し込んでいます。
「このストラップの端をきちんと収めておかないと、肩から外すときに顔にペタペタと当たってストレスになってくるんですよ」と石川さんが話しながらストラップを調整している模様。
自転車移動時にカメラがあばれないよう、かつ、さっと撮影体勢が取れるようにストラップを適切な長さにセットした後は、ピントの合わせ方や画像サイズの設定など細かな調整を丁寧に行っていきます。

あれ、なんだかこれって、自転車と似てませんか?
走り出す前に空気圧やギアの動きを確認したり、サドルの高さを調整するのとよく似ている。
「そうなんです。そのときどきに応じてどんな風に使いたいかを考えてきちんとメンテナンス
しておかなければいけないのは、自転車もカメラも同じです」と石川さん。
みんなが準備にかかっているところで、今回のワークショップの流れをご説明しておきましょう。

石川さんと参加者2名の3名が、各自カメラを斜めがけにして自転車にまたがり出発。
思いのままに走り、止まりながら撮りたい写真を撮影し、
その後オフィスに戻って2人が撮影した写真を石川さんがセレクトし、出力します。
参加者同士がお互いの写真をチェックし合い、選ばれた写真の中から、参加者の矢野さん、荒尾さん自身が良いと思う写真を5枚ほど選定し、最後に石川さんからのアドバイスを受ける、という進行。
矢野さんも荒尾さんもマイカメラを持っているのに使いこなせていないらしく、
今回の体験でどんな変化があるのかも楽しみです。

準備を終えていよいよ出発!と威勢良く走り出したと思った途端、
いきなりのストップ。3人が自転車から離れ、レンズを向けている先を見ると
なんとモデルは「鳩」の様子。
雲が切れて太陽の光が注ぐ絶好のタイミングを逃すまいと、
鳩たちが並んでひなたぼっこしている様子を狙うようです。

「鳩は動くから、先に構図を決めてシャッターを半押ししながら待つこと。
これ!と思う瞬間を狙うといいよ」
というアドバイスを受けて、2人とも動く、そして待つ。
そこにあるシーンをそのままとらえるのではなく、位置を変え、アングルを変え、
タイミングを見はからってすぐにシャッターを切らずに待ち、自分が撮りたいイメージを描いて撮るということに慣れていきます。
鳩を被写体にした撮影タイムが終わり、自転車で進むと
次のモデルに3人が選んだのはなんと「カモメ」。

手すりにずらりと並んでたたずむ白いカモメたちの姿を逃すまいと
そろりと近づき撮影する3人。
「今度はそこでしか撮れない写真を意識しましょう。カモメだけを狙わずに
背景の町を入れることで、どこにいるのかという情報を付加できますよ」
と石川さんにアドバイスを受けたすぐ後に、バサっと羽音を立ててカモメが飛び立ち...

すっかり2人ともフォトグラファー気分で撮影を楽しんでいるようです。
鳩とカモメの鳥シリーズが終わったところで、
次のポイントをめざして自転車にまたがり出発。
あれほど冷たく感じた風が、心地よく感じはじめてきました。

カメラの水平垂直をできる限り保つことがとても重要で、これにより見る方も安心できる安定感のある写真を撮ることに大きく繋がります。すなわち低い被写体を撮るときは自分がしゃがみ、高い被写体を撮るときは高くから狙える場所を探すなど、自分が動きながら撮るポイントを探します。これが写真撮影の基本中の基本です。

photo by Nozomu Ishikawa

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