2018.05.11 更新

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福岡大学 身体活動研究所
田中 宏暁 所長

1947年生まれ。東京教育大学(現在の筑波大学)体育学部卒、医学博士。専門は運動生理学で、特に肥満・動脈硬化性疾患などの生活習慣病の治療と予防、健康増進・競技力向上に有効な運動処方に関する研究が主なテーマ。
2018年4月23日 田中宏暁先生がご逝去されました。
謹んで田中先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

後編のお話

  1. ① 田中先生による自転車の魅力。
  2. ② スローサイクリングの方法:時間の目安。
  3. ③ スローサイクリングの方法:スピードとギア。
  4. ④ 大切なのは、はじめる、続けること。
Cyclingood
先生は自転車運動の特徴をどのようにお考えでしょうか?
自転車は非常に優れた運動ツールです。ペダリングは大腿筋や膝関節、腸腰筋に働きかける動作であり、何より「踏み込む」動作によって筋力アップが望めます。有酸素運動として、脚への衝撃や負担をかけずに長時間運動できる点も魅力ですね。変速機を使えばその人の体力や筋力に合ったペダリングにコントロールできるということも自転車運動の優れた特徴だと思います。
Cyclingood
ではスロージョギングならぬスローサイクリングとして
どのような運動法が良いと考えられるでしょうか。
スロージョギングでは1日1時間を最終的な目標として定めていますが、10分単位でも運動時間を積み重ね、トータルで60分になれば良いとしています。自転車の場合も往復で1時間、片道30分を目安にまずはスタートされるといいでしょうね。体力に余裕がある人は、ムリのない範囲で運動時間を伸ばすといいと思います。
Cyclingood
距離と時間では、
どちらで1日の運動量を把握すると良いでしょうか?
「時間」ですね。たとえば30分走ったとして、体力や持久力がついてくると30分時点の場所が前よりどれだけ伸びているかを実感できます。「ここまで来られた」と感じることは自己成長の証であり、運動に対するモチベーションにつながります。
Cyclingood
ではスピードはどうでしょうか。自転車でのニコニコペース
となると時速10~15km程度かなと思いますが。
そのくらいでしょうね。少し早く歩くペースと同じくらいの感覚的なキツさで良いと思います。がむしゃらにペダルをこぐのではなく、ギアを軽くしてクルクルと回す軽快な走行が適していると思います。風を切る気持ちよさも加わって、ニコニコペースでできるでしょう。
Cyclingood
息が上がらないニコニコペースで運動習慣をつくり、
長く継続していくことが必要になりますね。
運動をはじめると、体脂肪やコレステロール値などにきちんと成果が表れますが、運動を止めてしまうとこちらも正直に数値に出てきます。スローペースの運動は、まず「自分にもできる」という自信になり、身体の変化を実感しつつ、さらに次の目標を掲げて続けていくことに意味があります。成果が表れたから運動を止めるのではなく、その都度小さな目標を更新しつづけていただきたいですね。
Cyclingood
運動をなかなかはじめられない人にとって、
「スロー」の運動は最初のスタートとして最適だと感じます。
実際、これまでスロージョギングを多くの人に伝えてきた中で、まったく運動できなかった人がフルマラソンを走れるまでに変化するケースをたくさん見てきました。運動はツラいほど健康効果があると思われてきましたが、ツラくないからこそ得られるメリットもたくさんあります。最初は「こんなにラクでいいの?」と思うかもしれませんがそのくらいで大丈夫です。ぜひ健やかな身体と生活習慣づくりのために、「スロー」な一歩を踏み出してください。
Cyclingood
スローサイクリングでも十分に健康づくりに効果があり、
継続することに意味があることがよくわかりました。
田中先生、ありがとうございました。