2016.02.24 更新

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流通科学大学 人間社会学部 人間健康学科
博士(学術) 
大島 秀武 教授

1995年大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。1998年3月大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。1998年4月よりオムロンヘルスケア株式会社に勤務し、体脂肪計や歩数計、活動量計の開発に携わる。2011年4月より現職。
Cyclingood
それでは先生、「23METs・時/週」を実現するうえで、
自転車運動は有効なのでしょうか。
そういえると思います。
自転車運動の活動強度の目安は、「自分のペースでこぐ」場合で6.8METs。1週間にわずか40分程度乗れば、「運動で4METs・時/週以上」という条件を達成できる計算になります。ただし、この強度は乗り方次第で変わります。のんびりと走っていたらここまでの強度は期待できないでしょう。足を動かすことをしっかりと意識した走行が望ましいです。
また、自転車ならスポーツとしても移動手段としても幅広く利用できるため誰にでも取り入れやすく、ひざへの負担が少ないこともメリット。体力に自信のない人や肥満の方でもラクに続けやすい運動といえるでしょうね。
Cyclingood
しっかり走ってもラクに感じやすいのに
強度が高めというのはうれしいですね。
ほかにも自転車運動を取り入れるメリットはありますか?
自転車運動は全身で一番大きな太ももやお尻の筋肉を使い、脚を大きく動かします。大きな筋肉を使うと、効率良く代謝を上げることができます。
代謝の向上によってカロリー消費が促され、継続することで「脱メタボ」が期待できるでしょう。また、変速機を使ってペダリングの負荷を重く、軽く調整することができるのも自転車運動の特徴。自分の体力や道路環境に合わせた走り方ができるだけでなく、負荷をかけてさらなる筋力アップをめざすことも可能です。
Cyclingood
「筋力がつく」ということは、
「脚が太くなる」ということでしょうか。
それはよくある誤解ですね。
自転車に乗ると競輪選手のように足が太くなると思っている方が多いようですが、かなりハードなトレーニングをしないとあのような太ももになることはまずありません。むしろ習慣的に自転車に乗ることによって、脚が引き締まる効果を感じる人が多いと思います。また、筋力をつけるというのはとても重要なことで、「ロコモティブシンドローム」の予防にもなります。
加齢と共に筋肉は落ちやすくなりますので、若いうちから「ちょっときつい」ぐらいの運動を取り入れて筋力を維持し続けることが、いつまでもアクティブに暮らすために重要といえるでしょう。
Cyclingood
高齢社会こそ、筋力を保ちながら
健康体でいることが大切なのですね。
そうですね。
ただ、健康問題は高齢者だけが抱えているわけではありません。最近では子どもの体力低下や肥満も問題視されています。
その原因のひとつが運動不足。
昔の子どもは1日約2万歩程度歩いていたところ、いまでは約1万歩に半減しているというデータがあるほどです。
これを活動量の観点から探ってみると、低強度の活動に差がない一方で、高強度の活動量が多い子どもほど走り回る時間が長いことが明らかになりました。「走らない子どもが増えている」この現状は、遊び場が少ないなどの社会環境が起因していると考えられますが、もし、幼少期から体力をつけないまま成長してしまうと、若いうちに骨粗しょう症などを発症するリスクが高まるでしょう。そのため、活動量の向上は、年齢に関係なく取り組むべき社会的な課題といえます。
Cyclingood
それでは、いまの年齢にかかわらず、
10年後、20年後も健康体であるためには、
どのようなライフスタイルが理想的なのでしょうか。
とにかく「少しでも動こう」と日頃から意識することが大切です。
そして習慣化するには、活動量を毎日積み上げていく達成感を味わうなど、気持ちを盛り上げられるような工夫を見つけるといいですね。
活動量計などを利用して日々の活動量を「見える化」するのもひとつの方法です。また、部屋にたまった荷物を片付ける、隅々まで雑巾がけをしてみるなど、生活環境を自らの動作でより良くしてみると、単に体を動かす以外の「気持ちよさ」につながり、やりがいにもなっていきますよね。
身体を動かすことが習慣化すれば、大股で歩いたり早足で階段を登るなど、少しずつ負荷のかかる運動にステップアップし、さらなる筋力の維持・向上をめざしてください。
23METs・時/週以上にとらわれないほどに活動量のある生活が習慣化できれば、いくつになっても自由でアクティブな、豊かな人生を実現できると思います。
Cyclingood
日々のちょっとした意識づけが、健康づくりだけでなく
将来の豊かな暮らしにもつながっていくのですね。
先生、ありがとうございました。