2023.03.08 更新

どんなハプニングも、この家族なら大丈夫。
世界6大陸をめざす、坂本家の挑戦。

20代で5万5千キロにおよぶ自転車世界一周を達成した坂本達さん。この旅の記録を収めた書籍「やった。」や、その後ギニアの方への恩返しのため清潔な水を供給するプロジェクトの様子をまとめた書籍「ほった。」などを通じて、坂本さんの活動に共感された人は多いのではないでしょうか。今回は坂本さんファミリーにお集まりいただき、現在進行中のチャレンジについてお話しいただきました。

profile
profile坂本 達さん 佳香さん
健太郎くん 康次郎くん 大和くん
ご一家

株式会社ミキハウス勤務。1992年早稲田大学政経学部経済学科卒業後、同社に入社。1995年9月26日~1999年12月28日まで異例の4年3ヶ月の有給休暇を取得し、単独自転車世界一周で5万5千キロ走破。帰国後、旅の様子をまとめた書籍『やった。』や『ほった。』などの印税で、世界一周中にお世話になったギニアの村で井戸掘りや診療所を設立。ブータンでの教育支援プロジェクト実施。会社勤務の傍ら、国内外で講演活動を続ける。2015年からは家族全員で自転車による「世界6大陸大冒険」にチャレンジ中。

後編の「坂本ファミリー」

  1. 毎年変化していく、子どもたちの成長
  2. この冒険の楽しさは、自転車だからこそ
  3. 冒険を通じて、子どもたちに身につけてほしいこと

自転車による「世界6大陸大冒険」に毎夏チャレンジされている坂本さんファミリー。その道中はきっと、思いも寄らないハプニングがあり、それ以上の喜びや楽しさがあるのだと想像できます。ここからはどんなふうに冒険をされているのか、最新となる2022年のスペインの振り返り、さらにはこの冒険を通じて子どもたちについて伝えたいことをお聞きしていきます。

Cyclingood
坂本家世界6大陸大冒険は、たいていどのような行程なのですか?
達さん
スタートからゴールまでの道のりを自転車に荷物を積んで走り、宿泊はサイクリストのコミュニティにお世話になってご自宅に泊めてもらうことが多いです。今は健太郎も康次郎も自分の自転車で走れるので、私たちと同じように重い荷物を載せて、どんな上り坂でもでこぼこ道でも、暑さが厳しい日も目的地に向かって走ります。
佳香さん
第1、第2ステージの頃はホームシックになったり、あまりに毎日毎日走ってばかりいるので、子どもが泣きだしたりすることもあったね。

Cyclingood
2022年のスペインでの冒険はいかがでしたか?
達さん
大和が2歳とまだ小さい上、佳香が体調を崩して10日間ほど寝込んでしまって...。健太郎と康次郎もスペインの灼熱にバテてしまったりといろいろとハプニングはありました。
佳香さん
驚いたのが出発するとき、健太郎が「まだ荷物を載せられるよ」と言ってくれたのですが、見るともうかなり積んでる状態で。これ以上荷物を増やすと重くてツラいのに、たくましくなったなと感じました。私の体調が悪いことを気遣って、2人でよく大和の面倒を見てくれたのもうれしく感じましたね。
Cyclingood
海外という日常生活とまったく異なる環境に毎年のように身を置く経験をしていると、お子さんの成長を肌で感じられそうです。
達さん
日本とは食事も眠る環境もまったく違いますし、好きなおもちゃもありません。それでも年を重ねるうちに、お世話になっているお家に馴染めるようになり、地元の子どもたちと一緒に遊ぶことも増えました。自転車をこぐのがどれほどツラくても、自分でペダルを踏まないと前には進みません。そういう環境の中で、子どもたちが自分で考えて行動する機会が増え、自然に順応してくれるようになったのだと感じますね。

Cyclingood
坂本さんご一家の冒険のパートナーが、「自転車」であることにどのような魅力を感じていらっしゃいますか?
達さん
どの国に行っても、現地の人やそこで出会うサイクリストが私たちを仲間として迎えてくれます。このネットワークというか絆のようなつながりに感謝することばかり。子どもと一緒に走っていると応援の声だけでなく、走行に危険なルートをトラックに載せてもらったり、食事や宿の面倒を見てもらえたりと、本当にやさしく接してくださいます。自転車だからこそ出会えた人ばかりで、私たちにとって帰国後も大切な世界の友人になっています。
佳香さん
2019年の北海道冒険のときに、私は大和を身ごもっていたためサポートカーで同行したのですが、自転車で走るときと比べて楽しさは半減。自転車だから出会える人がいて広がる交流があるのだとこのときに強く感じました。やっぱり自転車で進まないとおもしろくないです。
Cyclingood
この世界をめぐる冒険を通じて、お子さんたちに何を身につけてほしいとお考えでしょうか。
達さん
そうですね。"どんなことがあっても大丈夫"と受け止められるしなやかさでしょうか。私たちの冒険は、計画どおりにいかないことが多々あります。予定していた宿に泊まれなくなったり、大雨で道が寸断されて走れなくなったりと、遭遇したピンチは数え切れないほど。「どうしよう」と露頭に迷っても、最終的にはその都度なんとかしてきましたし、人の助けで良い方に転んだこともたくさん。どんな状況になっても乗り越えてきた一つひとつの経験が、生きるしなやかさにつながっていけばと思います。
佳香さん
本当にまあ、予想できないいろんなことがありましたが、一人じゃないから、この家族だからなんとかなってきたのだと思いますね。子どもたちには私たちをリードする夫の姿、その背中を見ていてほしいです。

Cyclingood
2023年は、坂本ファミリーはどの地をめざすのでしょうか?
達さん
それはこれから家族会議で決めます。子どもも慣れてきて「荷物なしで走りたい」とか「長距離を走ってみたい」とか、いろいろリクエストが増えてきました(笑)。みんなで意見をまとめて次の冒険先を決めるつもりです。
佳香さん
そういえば今度、オーストラリアのファミリーが日本へサイクリングへ来る予定で、8歳のお子さんも一緒だそうです。我が家にも立ち寄ってもらってみんなで迎えるつもりです。世界各地でお世話になっている恩返しに日本で温かく迎えてあげられたらと、これも私たちの冒険の喜びのひとつです。

小学生の健太郎くんと康次郎くんにとって、毎年の冒険は当たり前すぎて特別なことだとまだ感じていないかもしれませんが、この経験によって知っていること、得たことがこれからの人生の中で栄養となって芽を出し、それぞれの花を咲かせていくのだろうなと感じました。
達さんが書籍に記した「一人では何もできない」、「人を突き動かすことができるのは人でしかない」という信念が、坂本さんご夫婦の姿から自然に子どもたちに伝わっているように感じました。
坂本さんファミリーのタフで自由でユニークな次なる冒険を、Cyclingoodも楽しみにしています。

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