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人生100年時代をどう生きる? ➊


内閣府の発表では日本人の平均寿命が2060年には男性84・19年、女性が90・93年と見込まれ、それだけ、健康で自立した生活を営める健康寿命が重要になっていきます。いつまでもやりたいことができる人生の基盤となるのはやはり「健康」。今回は自転車運動研究の第一人者である髙石先生に、100年時代を生き抜く健康づくりのコツを年代別に教えていただきました。
2018.01.19 更新

名古屋市立大学大学院 システム自然科学研究科
博士(人間・環境学)
髙石 鉄雄 教授
1988年神戸大学大学院卒。1989年名古屋市立大学教養部助手等を経て、2012年より名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科教授。京都大学博士。運動生理学とバイオメカニクスを使って、自転車運動が健康づくりにもたらす効果を研究している。
前編のお話
- ① どう生きるかという能動的なビジョンが必要。
- ② 30代、ストレスとの付き合い方。
- ③ メタボ対策で歩くなら最低でも毎日30分。
- ④ 40代、つまづきが増えたらロコモのサイン。
髙石先生は100年生きる時代となっていくことについて
どのようにお考えですか?
どのようにお考えですか?

個人それぞれが100年という長い人生に向き合い、「どう生きるか」という哲学やビジョンをもたなければいけない時代になると思います。65歳で退職してもまだ30年以上も生きるとなると、健康であり続けなければお金もかかります。ただ生かされる人生ではなく、どう生きるかという目標に対してポジティブに取り組んでいける人生が理想となりますね。これは現実的な側面を考えてもとても難しいことだと思います。
「人生をどう生きるか」というビジョンを
達成するための資本が「健康」なんですね。
達成するための資本が「健康」なんですね。

もちろんそうです。人間って基本はラクしたい生き物なんですよ。クルマで移動する、エスカレーターをつい利用してしまうのもそのひとつ。そうした日常を長く続けた先は容易に想像できますね。自分の高齢期がどうありたいかをイメージし、それを実現するための基盤になる「健康」を作っていく行動を起こすには早いに越したことはありません。
わかりました。では年代ごとの主な身体変化とその対策についてお聞きしていきます。まず30代は「ストレス」だと思いますが...

仕事のプレッシャーや人間関係でストレスを抱える人が多いようですね。実はストレスそのものは決して「悪」なだけの存在ではありません。キツいと感じることを自身で制御し、また乗り越えた後の達成感やリラックス度は高く、そのアップダウンを意欲的に取り込んでいくことはメンタルを強くします。この緊張と緩和を楽しむくらいの強さも必要だと思いますね。
なるほど。そのためにも日々感じる小さなストレスを
解消することも重要だと思います。
解消することも重要だと思います。

確かに運動はストレス発散に効果的だと言われています。自転車なら通勤に使うことで、仕事とプライベートのオンオフの切り替えになり、ストレスをためにくい習慣につながります。
では次に30~40代頃から増える「メタボ」について。
これはやはり運動による対策が必要ですね。
これはやはり運動による対策が必要ですね。

健康診断でメタボあるいはメタボ予備群と言われたら、糖質・脂質代謝の異常が疑われ、中性脂肪や血糖値の改善が必要になります。「平日は駅まで15分間歩いているから大丈夫」と思いがちですが、それだけでは不十分。糖質・脂質代謝を正常な状態に戻すなら、最低でも毎日30分、意識的に早歩きをするくらいでないと難しいです。自転車ならさらに長い時間運動することも可能ですし、短い距離でもいいので上り坂で強度を上げるのも良いですね。
40代からは「ロコモ」が危惧されます。いわゆる脚筋力の低下が原因ですが、これはなかなか自覚しにくいですよね?

ロコモティブシンドロームの一番のサインは「つまづき」です。最近よく足が引っかかるな、と感じたらロコモを疑っていいでしょう。この対策には脚筋力をつけるしかありませんが、筋肉は大きな力が働かないと使われないものです。つまり平坦な道を歩く程度の軽い運動では鍛えられません。
ではロコモ対策にどのような負荷のある
運動が有効なのでしょう?
運動が有効なのでしょう?

自転車なら毎日4~5%の勾配の坂を100m上ってみるだけでも脚筋力を強くする刺激となります。これは結構キツい運動ですが、立ちこぎをせずに100mだけとふんばってください。運動後に筋肉の張りを感じるようであれば、しっかりと筋肉を使った証となり、ロコモ対策になっていることになります。
人生100年時代を健やかに生きるためのコツは次回へ。
後編は50代頃から増える「更年期症状」について
お話を聞いていきます。
後編は50代頃から増える「更年期症状」について
お話を聞いていきます。
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