三国さんご夫婦の「自転車施策とこれから」❶

三国さんご夫婦の「自転車施策とこれから」❶

三国さんご夫婦の「自転車施策とこれから」❶

2020.02.7 更新

≪Part③のお話≫

  1. 健康づくりのツールとしての自転車の可能性。
  2. これから取り組んでいく、3つのこと。
  3. すべては、より良い未来の金沢を作るため。
Cyclingood
自転車による健康づくりについて、お考えをお聞かせいただけますか?
千秋さん

クルマに依存した生活を続けていると、年老いてから自転車にも乗れなくなるほど体力を失ってしまうことが十分に起こると考えられます。通勤などで若いときから自転車にも乗る習慣をつけ、たとえ老後に免許返納をしても移動に困らないようにしておくほうが懸命だと思います。また、子どもの体力低下が懸念されている中、小さなうちから自転車に乗る習慣をつけておくことが、健全な発育・発達を促せると思いますね。

Cyclingood
ところでお2人は日頃、自転車を生活に取り入れていらっしゃるのですか?
成子さん

ええ、もちろん。晴れた日は1時間程度、近くの公園から川沿いを2人でサイクリングすることが多いです。私はクルマにも乗っているので、意識的に自転車に乗る時間を作って健康づくりに生かしています。

千秋さん
デンマークをはじめヨーロッパでは「活動的な交通」を意味する「アクティブモビリティ」として、高齢者が外へ出て自分の足で行きたい場所へ行けることがとても大切だと考えられています。自然に触れて感性を磨き、いろいろな世代の人と交流しながら自らの感性を衰えさせない生活を維持することが幸せだと。ここ金沢でも徒歩や自転車で移動しながら、自然やまちの魅力にふれる楽しさを感じる人が増えたらと思いますね。
Cyclingood
では、これまでたくさんの成果を上げてこられたお2人が、
これから取り組んでいかれることをお聞かせいただけますか?
千秋さん
先ほどお話した街頭指導をより発展させることを考えています。
ただ道に立って交通ルールを指導するのではなく、子どもをはじめここを行き交う人とのコミュニケーションを活性化できるようにしたいのです。
Cyclingood
それはどういう理由からなのでしょう?
千秋さん
親が働きに出て、一人で過ごすことの多い子どもが増えている中、そういう子どもたちと何らかの接触をもち役に立つのも街頭指導の意味の一つです。
まだ検討中ですが、指導員向けのマニュアル作成からはじめようかと考えています。

Cyclingood
なるほど。交通環境だけでなく社会課題の視点が付加されていくのですね。
千秋さん

2つ目は「トランジション・マネジメント」に基づくこれからのまちづくりに向けた活動です。この「トランジション・マネジメント」とは、個人の行動を変えて未来の当たり前を作るための手法です。たとえば自転車の車道の左側走行を当たり前にするにはどうすればいいかを考えるわけです。
すでに徳島大学や明治大学の先生と一緒にワークショップをはじめていて、今後はまちづくりに関わっている人を巻き込んでいくつもり。
今後、より良いまちにするには何を当たり前にすべきなのかというテーマを決めて、具体的に進めていきます。

Cyclingood
未来の金沢のまちをどうするか、という取り組みなんですね。
成子さん

はい。最後は、先ほど少しお話した「里山」の再生です。森林と里山の資源をどのように育て、活用し、未来につなげていくかも真剣に取り組まなければなりません。
これから、まちの人と山の人と一緒に考えるワークショップを開催しながら、方向性を探っていきます。あるべき自然との共生を描き、まちだけでなく里山づくりにも取り組んでいきます。

Cyclingood
自然環境の保護・豊かなまちづくり・安全な交通環境がひとつになって、
お2人の描く金沢が完成していくというビジョンなんですね。
千秋さん

私たちの活動は、今年で20年を迎えました。自転車走行環境の整備など一定の成果を出してきましたが決してこれがゴールではありません。
まだまだ課題はありますが、さらに視野を広げて中山間地域を含む金沢のまち全体が、未来に向けてどうあるべきかを考え、その実現に向かっていきます。私たちだけでなく、地域の方々はもちろん、自治体とも協働しながら未来の金沢に貢献したいと考えています。

自転車の走行環境の改善からはじまった金沢のまちづくりは、
これからさらに加速していくよう。
当事者との対話を大切にしながら、その素早い行動力で
未来に向かって走りはじめていらっしゃいます。
これから金沢のまちがどのように変化していくのか、楽しみにしています!

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