花王和歌山工場の「自転車通勤モニター」❶

花王和歌山工場の「自転車通勤モニター」❶

花王和歌山工場の「自転車通勤モニター」❶

2017.06.16 更新

従業員の健康面を配慮することによって、経営面の成果をめざす「健康経営」という考え方。
日本でも健康経営に取り組む企業が増える中、いち早く「健康宣言」を発行し、エリアの特性に応じた健康づくりに取り組んでいるのが花王さんです。今回お伺いした花王和歌山工場さんでは、健康相談室の女性4名が中心となり、各種セミナーやイベントなどさまざまなプログラムを提供。そのプログラムのひとつが自転車通勤モニターでした。従業員の健康づくりに自転車を活用する取り組みについて、その思いと成果をお聞きしました。

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花王和歌山工場の自転車通勤健康プログラム
従業員の健康づくりの一環として、2016年3月・9月の2回にわたりスポーツバイクによる自転車通勤健康プログラムを実施。3カ月間、各20名が参加したこの取り組みには、花王和歌山工場の健康相談室のスタッフによる積極的な働きかけに加え、地元の自転車販売店による自転車貸与と紀の川エリア観光サイクリング推進協議会や地元のサイクリングクラブによる走行イベントサポートもあり、参加した従業員一同満足度の高い結果に。運動不足を自覚しながらも「運動をする時間がない」という状況に対し、通勤を自転車に変えるという運動習慣のきっかけづくりを果たした。

晴天の5月某日。花王和歌山工場の敷地に入り、まず驚いたのがその広大なスケールです。
目の前に広がるさまざまな種類の建物、すべてが見渡せないほどの奥行き。
「広さは甲子園球場の約13倍」と聞いて、なるほどナットクです。
これだけ広い敷地には、それだけの数のいろいろな年代、職種の従業員が
いらっしゃるということであり、「従業員の健康づくりを推進する」ことの大変さが伺えます。

さっそく健康相談室に伺うと、保健師の松田さん、堀さん、近藤さんに加え、
工場長の松下さんと人事総務課長の芝田さんが迎えてくださいました。
それではまず、花王和歌山工場さんの「健康経営」について、
どんな取り組みをされているのかをお聞きしてみます。

Cyclingood
さっそくですが花王さんの健康経営の方針について
教えていただけますか?
花王
和歌山工場さん
健康経営に関する我が社の取り組みがはじまったのが2008年です。
「花王グループ健康宣言」が発行され、
①生活習慣病 ②メンタルヘルス ③禁煙 ④がん ⑤女性の健康
という具体的な5つのテーマが定められました。
それに伴い、各事業所単位でも地域に即した活動が本格化していきました。
Cyclingood
今でこそ当たり前となった「健康経営」ですが、
当時はまだ珍しかったのではないですか?
花王
和歌山工場さん
弊社はもともと従業員は家族、従業員の家族まで会社の家族と考える風土が昔から根づいていました。会社が社員の健康を気づかうのは当たり前であり、例えば社員の配偶者まで健康診断の対象になっています。
今でこそ「健康経営」という言葉になっていますが、ごく自然な流れだったのだろうと思います。

Cyclingood
現在はこの健康相談室の4名の保健師さんが中心になって
さまざまな健康増進プログラムを提供されているようですね。
ここ和歌山工場の従業員はどのような構成になっているのでしょう?
花王
和歌山工場さん
従業員は約1,900名。そのうち男性が1,700名とかなり多い割合です。
職種はおよそ生産部門が1,100名、研究部門が800名となっています。
Cyclingood
男性が多いということは、メタボの方がもしや多い...?
花王
和歌山工場さん
そうなんです。この工場は和歌山市内にありますが市外から通勤している人も多く、クルマ通勤は従業員の50%ととても多いです。
Cyclingood
クルマで通勤することが当たり前になっていると、
よほど意識が高くない限り、運動する機会を作れないですね。
花王
和歌山工場さん
ええ。それを決定づけたのが「運動不足だと思っている人が8割」という調査結果でした。1,900人の内の8割が運動できていないことを自覚しているということは対策を考えなければなりません。

花王
和歌山工場さん
さらに、ここは都心と違って、仕事帰りにスポーツジムに通ったり、ショッピングを楽しんだりということがほとんどできず、どうしても家と職場の往復になりがちであることも、運動不足を慢性化させている要因だと思っています。
Cyclingood
なるほど。そういう状況を改善するために、
この敷地内にウォーキングコースを作られたり、健康増進プログラムを
提供されているのですね?
花王
和歌山工場さん
「運動しましょう」とただ働きかけても人はやらないものです。
運動や何らかの活動を通じて「楽しい」と感じなければ絶対に継続しません。
運動や活動の中にあるさまざまな「楽しさ」を従業員に感じてもらいたいという思いから、あらゆるプログラムを検討しています。
Cyclingood
例えばどんなメニューがありますか?
花王
和歌山工場さん
ウォーキングイベントでは、工場から雑賀崎という岬をめざして全長約12kmをみんなで歩きました。そういえばウォーキングイベントはここのところ参加者が増加傾向ですね。
また、弊社にはボランティア活動があって、熊野古道に通って土を運び、道の修復を行う道普請(みちぶしん)ということもしています。
Cyclingood
熊野古道の修復ですか?それはユニークですね。
花王
和歌山工場さん
もちろん一度で終わらないので何度か通っているのですが、次第に仲間意識が芽生えてきて、皆さんホント楽しそうなんです。
こういう仲間ができるということも「楽しさ」のひとつですし、他にも達成感がある、気持ちいいなど運動や活動にはいろんな種類の「楽しさ」があります。この「楽しさ」によって人は余裕や意欲を得られると考えています。
Cyclingood
余裕や意欲を生みだす原点が楽しさであると。

花王
和歌山工場さん
はい、そうです。楽しいからまた自分からやりたい気持ちになり、結果運動や活動を継続できるというその状況は、時間的にも精神的にも余裕が生まれている証ですよね。これは人が生きる上でとても重要なことです。このような心身への好循環を生み出すきっかけ作りが私たちの役割だと感じています。
Cyclingood
ということは、今回2回にわたって実施された自転車通勤モニターも
自転車が「楽しさ」を生み、心身への好循環のきっかけになると
お考えになったのでしょうか?
花王
和歌山工場さん
もちろんです。弊社の従業員の半数がクルマ通勤であり、
これが運動不足の要因になっていることから
「通勤形態を変える方法はないか」と常々考えていました。
今回、シマノさんと一緒に自転車通勤モニターというかたちでトライアルできるようになり、それはもう光が見えたような気がしました。
スポーツバイクは一般の軽快車と比べて爽快感が格段に違います。
あの心地よい滑らかな走行が、通勤の時間をまったく違うものに変えてくれると期待がふくらみました。
健康経営に取り組む企業が増えている今、
時間をかけて「いかに従業員の意識を変えるか」に
地道に取り組まれてきた花王和歌山工場さん。
楽しさが継続になり、心の余裕や意欲につながっていくという
運動や活動を行うことの本質に気づかされました。
後半では自転車通勤モニターの参加者3名も登場。
「自転車にハマりました」と口を揃える、その理由に迫ります!

ここまでやってる!花王和歌山工場さんの健康づくり

①出前健康教室

健康相談室の保健師さんが月に一度のペースで各部署に訪問して健康づくりを解説する「出前健康教室」。時期に応じて熱中症、夏の疲れ、ストレス、花粉症などさまざまなテーマで開催しています。中心となっている松田さんを「知らない人はいない」ということからも、健康相談室と従業員との距離が近づき、健康相談室への相談件数も増えたそうです。

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