トメル+ミセル@アオヤマの取り組み

トメル+ミセル@アオヤマの取り組み「人と自転車と街の関係を変える、デザインのチカラ。」

トメル+ミセル@アオヤマの取り組み「人と自転車と街の関係を変える、デザインのチカラ。」

2015.03.23 更新

違法駐輪など、何かと社会問題として取り上げられがちな駐輪に関する話題。そんな中、駐輪場をデザインの力で変えていこうと働きかけているのが東京の青山で行われているBDA(Bicycle Street Design Competition AOYAMA)です。BDAとは、これからの駐輪のかたちを考える駐輪場のデザインコンペで、2014年で3回目を迎えています。この活動の意義と現状について、BDA審査員長であり建築家の千葉学さんにお話を伺いました。

BDAのWebサイトはこちら http://ride-aoyama.jp/bda/

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千葉 学(ちば まなぶ)
1960年東京生まれ。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1987年東京大学大学院修士課程修了。2001年千葉学建築計画事務所設立。現在、東京大学大学院教授、建築家。BDAの審査員長としては、2012年の第一回からその知見を発揮。小学生の頃からサイクリングクラブに所属していたほどの自転車愛好家で、現在はヒルクライムのレースにも出場しているほど。
Cyclingood
デザインの力で駐輪場を変えるとは、とてもユニークな試みですね。
千葉さん
これまで3回実施してきましたが、毎回驚きのあるデザイン案が寄せられています。
駐輪場は必要な場所になかったり、あっても場所が不便などの問題がありますが、街にとっては不可欠なものであり、街や人と良い関係を築いていかなければなりません。
それをデザインでどのようにつないでいくかが、この活動の主旨です。
Cyclingood
最近は自転車ブームによって、自転車人口が増えてきています。
千葉さん
私は子どもの頃から自転車に親しんできましたがここ最近の自転車ブームについては驚きですね。
「こんなにロードバイクに乗る人がいるなんて」というのが正直なところ。昔はネクラな趣味だと言われていましたから(笑)
それはさておき、このようなブームになってくると自転車に乗る人が増えて、ルールを遵守しない人が目立ち、全体的にマナーが乱れるという傾向になりやすくなります。これは自転車に限った話でなく、社会問題視されはじめるとどんどん規制が増えていく。
昔、ウインドサーフィンで同じことが起きました。決して望ましいかたちではありませんよね。
規制を押しつけて解決するのではなく、自転車と社会がいい関係で共存できるようにするにはどうしていくか、その視点が重要だと考えています。

Cyclingood
千葉さんにとってのBDAにおける「良いデザイン」とは、どのようなものなのでしょう。
千葉さん
自転車を停める行為って、ほんのささいなことですよね。
スタンドに掛ける、柵に立て掛けるなど、その行動は大きなことではなく、私は「ささやかな秩序」だと思っています。
こうした小さな行為に適したデザインとは既存のモノに少し手を加えて、新しい価値を生み出す方がふさわしい。
土地の無い場所に駐輪場用のスペースを新たに作っていくことよりも、街に当たり前にあるガードレールや並木、外灯、建物などに目を向けてそこに少しのアイデアを加えていくことの方が、本当の意味で街に溶け込む、身の丈に合った街づくりにつながると思っています。
2014年最優秀賞「影絵駐輪場(シルエットパーキング)」(菊地 豊栄さん、杉崎 奈緒子さん)対象敷地のひとつである「銭湯 清水湯」は地下駐車場にあったため、一般的には地下駐車場は「暗い」「自動車のためだけのスペース」というイメージを逆手に取り、「暗さ」を利用して影絵で駐輪場を生み出した。
Cyclingood
ちょっとした発見やアイデアで、駐輪場のあり方さえも新しくなっていきそうです。
千葉さん
そうでしょう?街に何か新しいモノを足していくというアプローチでなく、すでに有るモノを見直すことの方に可能性を感じます。
もともと自転車って「気づき」のある乗り物ですよね。
坂道や路面の凹凸、段差、そして思うがままに移動してそこで出合う風景…。たくさんの気づきを与えてくれる自転車にとって、駐輪場にも「気づきをデザイン」することの方がフィットします。それに、そんなデザインの方が青山らしいですしね。
2014年優秀賞「Parking Comb」(山田 舞さん)
理容室という対象敷地に向けて、クシをモチーフに。コームの部分に前輪を収めるスタイルによって、店舗の景観に馴染むだけでなく、店舗のアイコンの用途を果たすというユーモアのある駐輪場を考案。
Cyclingood
青山という街と自転車、
そして駐輪場には何か深い関わりがあるのでしょうか?
千葉さん

2009年に青山エリアが「自転車にやさしい町宣言」をしたのがはじまりで、その後自然に自転車関連のお店が増えていきました。
私は子どもの頃からこの街に馴染んでいまして母校も現在のオフィスも青山です。

表通りにはブランドショップやカフェが建ち並ぶ高感度のイメージがありますが、少し道を入れば住宅やオフィスがあり、バーも幼稚園も大使館もラグビー場まであるというユニークな街です。
いろいろなものが混じり合った青山だからこそこの多様性に目を向けて、幅広いアプローチのデザインに期待したいですね。

Cyclingood
最後に、BDAのこれからのビジョンについてお教えください。
千葉さん
これまで3回の開催で、たくさんのアイデアが寄せられましたが具現化していくのはこれからです。
そしてこの活動をもっと多くの人に知っていただきたいですね。
青山のあちらこちらにデザインされた駐輪場があり、自転車で自由に街を散策しながら、停めることさえも楽しさのひとつになる。
そんな安心と楽しさのある街づくりに貢献できればと考えています。
Cyclingood
2015年の結果発表が楽しみです。
どうもありがとうございました。