「健康経営」の最前線を行く、株式会社フジクラ。1

「健康経営」の最前線を行く、株式会社フジクラ。1「全社員の健康こそ、長期的な成長を実現する原動力。」

「健康経営」の最前線を行く、株式会社フジクラ。1「全社員の健康こそ、長期的な成長を実現する原動力。」

2015.09.09 更新

「健康経営」とは、従業員の健康管理を企業がが経営課題として捉え、従業員の健康の維持・増進を計りながら生産性向上をめざす経営手法です。日本でも多くの企業が取り組みをはじめている現在、いち早く健康経営に着手し、先進的な施策を次々におこなっているのが(株)フジクラさんです。
全従業員に健康増進のさまざまな働きかけを行われている中、この度自転車通勤ウェルネスプログラムを(株)シマノと一緒に行いました。今回は、(株)フジクラさんが健康経営に取り組む背景とその具体的な内容を健康経営推進室の3名に、そして今回のプログラムにご参加いただいた3名にもお話しを伺ってきました。「健康」が、企業の成長を後押しする時代です!

profile
profile
株式会社フジクラ
光ファイバやケーブルなどのエネルギー・情報通信分野をはじめ、エレクトロニクス、自動車電装など多様な分野の事業を展開している(株)フジクラ。2010年度に健康増進を経営方針のひとつに定め、2014年1月に掲げた「フジクラグループ健康経営宣言」以降、具体的な健康経営施策に着手。創業130周年という長い歴史の中で培ってきた「社員一人ひとりを財産として育て、成長戦略に生かす」という理念を具現化するこの取り組みは、健康経営の新たなモデルケースとして多方面から注目を集めています。
Cyclingood
まずはフジクラさんが考える「健康経営」について
お聞かせいただけますか?
フジクラさん
労働安全衛生法が昨年6月に改正されるなど、今やどの企業にとっても従業員の健康増進は欠かせないミッションです。
日本には昔から福利厚生という考え方がありましたが、病気になってからケアをするのではなく、どうすれば病気にならない身体を長期的に維持できるかというのが今の健康経営の考え方。
経営視点で社員の健康づくりに取り組み、企業の発展につなげていくのが一番の目標です。
Cyclingood
最近は心の問題を抱えている人も増えているため、
心身共の健康が大切ですね。
フジクラさん
そうです。メンタルの不調は働く意欲を失わせてしまいますから、 心身ともにいい状態をキープできるように働きかけ、 仕事に向き合う意欲を高め、能力をフルに発揮してもらいたいです。
Cyclingood
そもそも、健康経営の考えには、医療費削減という現実的な課題解決が狙いのひとつとされているようですが…
フジクラさん
ええ、確かにそうですね。しかしフジクラはそこを重視しているわけではないのです。
人は人生の中で、1回は病気や事故で入院を余儀なくされる状況になると言われています。これだけ高齢化が進むと、その割合は高まっているかもしれません。私たちにとっては、早いうちからの健康習慣によって、このような入院リスクを減らすのが狙いの一つです。50代・60代になっても元気に働ける状態をつくることは会社にとって意味のある投資になります。
長期入院などでリタイヤすることなく、長く会社に貢献してもらえる状況をつくることこそ、健康経営推進の最大の成果だと考えています。
人事・総務部 健康経営推進室 副室長 浅野 健一郎さん
Cyclingood
「長く会社に貢献する」ためには、
健康だけでなくさまざまな要因が関わってきますね。
フジクラさん
今の日本企業は、スタンドプレーよりも、チームプレーでひとり一人の力を上手く引き出し合わなくては成長できないと言われています。
つまりチーム内コミュニケーションが円滑にできないとダメで、心身に不調を抱える人が一人でもいると悪い影響を及ぼします。
バブル景気が弾けてからのいわゆる「失われた20年」で、リストラが増え、競争をあおられ、不安感が増長されていきました。
しかしこの不安感、実は日本人が遺伝子レベルで非常に弱いということが明らかになっているのです。
Cyclingood
え?日本人は不安に弱い遺伝子だと?
フジクラさん
ええ、外国人に比べて不安に弱いのが特性なんです。
ということは、言い換えると安心できる環境にいれば力を発揮できる人種である、と言えます。
Cyclingood
興味深いですね。
競争原理では日本経済が成長できなかったことも納得できます。
フジクラさん
そういう人種であることを踏まえると、これからはコミュニティの正常化・健全化によって、一人ひとりにとって不安のない、居心地の良い環境をつくることが重要になります。
それが会社への信頼感につながって安心して仕事ができ、能力をさらに発揮しやすくなります。
心身の健康が維持されていれば、効果はより高まるでしょう。
それが健全なライフスタイルを生み出し、将来的に「長く貢献できる人材」につながっていくと思うのです。
これはフジクラにとって、新しい文化をつくっていくことでもあります。
1年や2年で結果を出せるものではなく、長期的な視点で育んでいくべきものだと捉えています。
人事・総務部 健康経営推進室 主席技術員 三ツ橋 恵子さん
Cyclingood
それでは健康づくりの取り組みとして、具体的にどんなことを実践されているのですか?
フジクラさん
約2年半前に本社からスタートし、昨年から全社展開となりましたので正直、まだ手探りの状態です。
従業員希望者全員に歩数計を配布したほか、事業所ごとに血圧計などのバイタル計測器を配置し、誰もがいつでも測定できるようにしています。 最初は突然社内に機器が置かれているのに違和感を感じた社員が多かったようですが、それが日常の風景になって、今では個人レベルで定期的に使用しているようです。
あとは自宅からも閲覧できるWebサイトをクラウド上に構築し、健康関連の情報発信、ブログ形式のコミュニティづくり、イベント情報などを随時発信しています。
Cyclingood
そのイベントとはどのようなことを行っていらっしゃるのですか?
フジクラさん
従業員に配布した歩数計を使って、世界や国内をバーチャルで歩き、
歩数を競うイベントを行っています。ちょうど今は四国八十八ヶ所巡りです。
歩数がWebサイトに自動的にアップロードされ、個人やチームの歩数が、ランキングとして表示される仕組みです。
職場単位のチーム戦導入により、次第に競争意識が芽生えてきて、「少しでも歩こう」という意識が強くなり、かなりの盛り上がりをみせました。
Cyclingood
とても楽しそうですね。「競う」というゲーム感覚がおもしろさにつながるんですね。
フジクラさん
そうなんです。職場での盛り上がり効果なのか、普段は歩くことを意識していなかった人が「階段を使おう」「一駅歩こう」と自分から変わってきているそうです。 歩く意識が高くなってきているので、プライベートの旅行でも、「観光でたくさん歩くな」と歩数計を持参するという話も聞きます。
人事・総務部 健康経営推進室 吉田 真由美さん
Cyclingood
このようなイベントは定期的に行われているのですか?
フジクラさん
次のイベントを考えているところですが、
1回のイベントを3カ月程度のスパンで行うようにしています。
これは生活習慣を変えるには「3」のつく数字が有効だと考えられていて、このくらいの期間で行わないと身体が慣れませんし、習慣化されにくいのです。
基本の作業運動を一過性にせず、生活の中で当たり前になるように働きかけるためのイベントとして期間を設定しています。
Cyclingood
いろいろな取り組みを通じて、現在のところ成果はいかがでしょう?
フジクラさん
もともとの健康データは世間並みだったのですが、全社員の健康診断の平均値は良い方向へ変化してきています。
約1年間で血圧と血糖値が高い人のうち改善したのが約7割。
これは一定の成果として評価していいと思っています。
しかし数値として顕著に成果が現れるのはまだこれからだと思っていますので、焦らず地道にこの活動に取り組んでいきます。

いま健康な人にも、何らかの不安を抱えている人にも、
将来を見越した長期的な視点で「自分の身体を考え、健康づくりを行う」ことに
主軸を置いて健康経営に取り組んでいるフジクラさん。
強制せずに「やりたい気持ちに変えていく」ことを大事にしている姿勢にも
とても共感しました。
次回はいよいよ自転車通勤ウェルネスプログラムについておたずねします。