おとなとこどものじてんしゃ運動会「バイクロア」1

おとなとこどものじてんしゃ運動会「バイクロア」1「”好き”を広げていく、思いのリレーション。」

おとなとこどものじてんしゃ運動会「バイクロア」1「”好き”を広げていく、思いのリレーション。」

2017.01.20 更新

「自転車のチカラで地元を盛り上げていきたい」という熱意を抱いた自転車仲間が中心になり、
埼玉県さいたま市で2011年から年に1回開催されています。
“おとなとこどものじてんしゃ運動会”というコンセプトのもと、
自転車好きも、そうでない人も、みんながひとつになって楽しめることが大きな特徴。
今回は、2016年12月3-4日に開催された「秋ヶ瀬の森バイクロア6」にお邪魔し、多くの人をとりこにする
バイクロアの魅力を探ってきました。

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バイクロア
職業も経歴もまったく異なる5人の自転車仲間、松原満作さん、森田洋平さん、増田拓己さん、岡野俊介さん、武井良祐さんが中心になり、2011年から埼玉県さいたま市の秋ヶ瀬公園で開催している自転車イベント。最近では「町おこし」としても注目されており、2015年から山梨県北杜市白州町で、2016年から愛媛県松山市でも出張開催を行っている。5月下旬には山梨県北杜市白州町で、「白州の森バイクロア3」が開催される予定。
提供:バイクロア実行委員会

埼玉県で、ちょっと変わった自転車イベントが行われている。
そんな噂を聞きつけ、冬空の美しい12月3日に、
Cyclingood取材班は埼玉県さいたま市へと向かいました。
最寄りの南与野駅から会場の「秋ヶ瀬公園 こどもの森」までは、
バイクロア専用の無料送迎バスに乗り、約15分で到着します。

バスから降りてすぐに聞こえてきたのは、耳なじみのいいアップテンポな音楽。
高揚感を感じながら木々に囲まれた道を抜け、会場内に視線を広げると、
左側には、広場をテントがぐるりと囲む出店ブース、
右側には会場奥の森へと続くレースコースがあります。
そのコースの手前には本部テント、さらにその奥には大きなスピーカーが置かれたDJブースも。
自転車イベントやレースの多くは緊張感に包まれているはずなのに、
「このゆるさは!?」と、そのギャップに驚きです。

会場内では、サイクリングウェアを着てレースに備えている人を目にする一方、
出店ブースでフードやドリンクを楽しんでいたり、
芝生の上にレジャーシートを広げて家族や友人と談笑していたり、
リラックスした雰囲気でくつろいでいる人がたくさんいます。
まるでフードフェス?あるいは音楽イベント?と勘違いしそうになる気持ちをおさえ、
コース際に近づいてレースを観戦してみることに。

レーススケジュールを見ると、行われているのは「チームラリー」。
家族や友だち2~4人のチームをつくり、交代しながら90分間走り続けて
何周できるかを競うエンデューロレースです。
コースにはぬかるみやハードル、丸太などの障害物だけでなく、
自転車を担いで階段を駆け登り、坂を下る「フライオーバー」もあります。

障害物をクリアしながら走り抜けるシクロクロス競技でも、
本格的なレースの場合は選手がみな上位をめざして緊迫した雰囲気になりがちですが、
こうして見ていると、時折苦しそうな表情を見せながらも、
どの参加者もレースが楽しくて仕方ない!
という気持ちでいるのが伝わってきます。
いったいどうしてこのようなイベントが生まれたのだろう。
どうしてみんなこんなに楽しそうなのだろう。
そんな疑問を確かめるべく、実行委員会の松原さんと森田さんにお話しをうかがうことにしました。

Cyclingood
レースの内容も会場の雰囲気も、とてもユニークですね。
「バイクロア」が生まれたきっかけは、一体何だったのでしょうか?
バイクロア
実行委員会さん
「埼玉は東京のベッドタウン」という、自分たちが地元に対して持っている控えめなイメージを変えたい、と強く思ったことがはじまりです。
ちょうど、実行委員会の松原と森田が父親になったばかりのころで、父親として子どもにかっこよく思われたい、この埼玉を、将来、子どもたちが誇りに思えるような街にしたいと思い、自分たちに何ができるかを話し合っていました。
それで、2人の好きな自転車で何かやってみよう、という考えに至ったのです。
Cyclingood
このようなオリジナルのスタイルにこだわった理由は何ですか?
バイクロア
実行委員会さん
2人共、将来は家族と一緒に自転車を楽しみたいと考えていたので、自分たちでイベントをつくるなら、家族と参加できるものがいいな、とぼんやり思っていました。
自転車仲間の増田、岡野、武井にも声をかけ、具体的な準備をはじめてからも、自分たちがやりたい、おもしろいと思うことを追求していきました。
第1回を開催するまでには、秋ヶ瀬公園の許可申請を行ったり地元の飲食店に足を運んで出店を依頼したり…。
いろいろな苦労がありましたが、気づけば「埼玉を盛り上げたい」という思いに共感してくれる人たちがこんなにも多く集まっていました。
Cyclingood
これだけの規模のイベントをイチからつくり
継続していくことは、本当に大変なことだと思います。
一体、その原動力は何なのでしょうか?
バイクロア
実行委員会さん
うーん。何でしょうね(笑)。
自分たちが楽しいから、というのがひとつの理由かな?
あとは、参加してくれている人が無邪気に楽しんでいる姿を見ると、「やってよかった」という気持ちになります。
たとえば、普段はロードバイクに乗っている人が、転んで泥だらけになって、それを笑い飛ばしてまた走り出していく姿を見ると、
いつもとは違う自転車の楽しさを感じてもらえたのだなと実感します。
バイクロアを通じて、知らなかった自転車の楽しさに出合ったり、自転車をもっと好きになるきっかけになることは、やはりうれしい。
そして、私たち実行委員会の5人が自転車を通じて知り合い、人生の楽しみを広げていったように、ここでの出会いをそれぞれの形へと広げていってもらえたらと思います。
Cyclingood
皆さんの思いに共感してくれる仲間が増えていくことで
自転車文化も、地域の人々も
相乗効果でどんどん盛り上がっていきそうですね。
バイクロア
実行委員会さん
バイクロアという名前は、自転車の「バイク」と伝承という意味を持つ「ロア」をかけ合わせたもの。
私たちが知っている自転車のおもしろさを体感してもらうだけでなく、新しい自転車文化を生み出しながら受け継がれるものになってほしいという願いを込めたネーミングです。
子どもたちの代までここ埼玉の人や街に、元気になってもらえるバイクロアであり続けたいと思いますね。

回を重ねる度に、彼らの思いに感化された人が増え、
いまでは毎年開催を待ち遠しく思っている方も多いそうです。
秋ヶ瀬公園の管理事務所の前所長を務めていた小髙さんも、そのひとり。
コース設定や住民への配慮をサポートするなど、
影でバイクロアを支える一方、参加者としても楽しまれています。
「最初に話を聞いたとき、地元の若者たちの頑張りに協力したいと思いました。
秋ヶ瀬公園への来園者が増え、知名度が高まるなど
彼らのおかげで県営の秋ヶ瀬公園を有効活用できていると感じています。
また、個人的には年に1回、自転車で走り回る子どもたちを見て、
成長を感じられることも楽しみになっています」。
ほかにも、高校生やメッセンジャーなど、年齢も職業も異なる約30名の仲間が
送迎バスの運転手、レースや表彰式を盛り上げるMC、コース係員などを担当し、
バイクロアの運営を担っているとか。
実行委員会のメンバーの思いがこれだけ多くの人に伝播し、
このイベントが成立していることに気づきはじめたころ、
オレンジ色の夕日がゆっくりと姿を隠し、日が暮れていきました。
さぁ、これからいよいよ、1日目の最後を飾る「サンセットレース」がはじまります。

参加者は愛車にライトをいくつもつけたり、電飾を体に巻きつけたり、
中にはモーターバイク用のライトをハンドルに取り付け、ビカーン!
となっている方も。
レースでは、色も明るさもさまざまな電飾が暗闇の中を走り抜け、
ライトを落としたり、転んで泥だらけになったりしても、
そんなことおかまいなし、と走り続けます。
会場のテンションがさらに高まっていき、
応援の皆さんは寒さを忘れて灯りを見つめ、
大きなエールを送り続けていました。

バイクロアならではの楽しさと世界観を実感した1日目はこれで終わり。
2日目は一体どんなユニークなレースを観戦できるのでしょうか。
ワクワクした思いを胸に、後編へレッツゴー!

バイクロアの世界観がつまった
手づくりアイテムがいっぱい。

手づくり感のあるあたたかみを大事にしているというバイクロア実行委員会。
会場をよく見て回ると、実はこんなところまで手づくりなのです!

  • ツリーハウス

    自転車を愛するアーティスト、金山弘治氏とバイクロアスタッフが協働で毎回手づくり。子どもたちの憩いの場です。

  • オリジナル看板

    メインの「BIKE LORE」看板をはじめ、「START」「GOAL」などの看板はすべてオリジナル!カラフルでかわいらしい!

  • 抽選BOX

    レースの上位3名がそれぞれボールを取り出し、書かれた数字の順位の方に景品をプレゼント。バイクロアに欠かせないアイテムです!

  • チェッカーフラグ

    通常の市松模様ではなく、あえての水玉模様がこだわりだそう。太い枝を使い、振り回しても安心の頑丈さです。