「自転車のまちづくり」のための地域交流会 1

「自転車のまちづくり」のための地域交流会 1「地域の、住民の、しあわせを育む学びの場。」

「自転車のまちづくり」のための地域交流会 1「地域の、住民の、しあわせを育む学びの場。」

2016.03.30 更新

いま、自転車をまちづくりに活かしたいと考える自治体が増えてきています。
観光客に地域の魅力を感じてもらうツールとして、そして住民の健康づくりとしてなど、
「自転車」がもたらす可能性はさまざま。 しかしそれぞれがめざす「自転車のまち」をどのように創り上げていくべきかはそう簡単に答えが見つかりません。そこで、「自転車のまちづくり」という同じ目標をもつ自治体や企業が集まり、意見交換や、実践につながる学びの場を提供しているのがこの「地域交流会」。
5回目となる2016年2月17日、まだ寒さの残る中計25の自治体・企業・NPO団体が集い、繰り広げた熱い交流の様子をお伝えします。

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地域交流会
(株)シマノが2014年3月、「散走読本」の出版を記念して、日本各地で自転車のまちづくりに取り組んでいる自治体・企業等のリーダーにお越しいただき、散走読本のお披露目と同時に地域交流会と散走体験会を実施。これを発端に、シマノのコンセプトストア「LIFE CREATION SPACE OVE」にて、それぞれの問題意識や成果を共有し、課題について共に考え、学び合う「場」として継続的に地域交流会を行っている。

日差しに少しぬくもりを感じるけれども、まだまだ北風が吹きつける2月。
東京・南青山の「LIFE CREATION SPACE OVE」の扉を開けると、受付を待つ人、人、人。
外の寒さを吹き飛ばすような熱気の中、
第5回となる地域交流会がはじまろうとしていました。
集まっているのは南は宮崎県、北は岩手県までの計25の自治体や企業等の方、全41名。
5回目だけあって常連の参加者の方も多く、あちらこちらで声を掛け合う姿が見られます。

この地域交流会は、自転車を地域の活性化や住民の健康増進に活かしたいと考える皆さんに集まっていただき、共に「どのようにして自転車のまちを作っていけばいいのか」を考え、学び合う場。

「自転車のまちづくり」という同じビジョンを描いているエリアも立場もさまざまな方が、取り組み事例の共有や意見交換を通じて、それぞれが「地元にとっての自転車のまち」を実現できるようサポートしています。とはいっても、シマノが行っているのは「場」の提供のみ。「自転車のまち」にこうすべきという答えはありません。

いろいろな立場の人からの意見や事例を参考に、自分たちらしい「自転車のまち」のヒントを見つけてもらうことが地域交流会の目的です。

これまでの「地域交流会」の様子

最初は7エリア9名だった参加者は回を追うごとに増えていき、
発表される内容もどんどん具体的な内容へと進化していきました。
「自転車イベントの運営はどうしているか」
「健康づくりに住民を巻き込んでいくにはどんな方法があるか」
「行政と民間はどのような役割分担が望ましいか」
などのディスカッションを重ねてきました。
ここで、これまでの中から特徴的な事例を2つご紹介します。

宮崎県西都市 自転車販売店を営む奥口さんが、西都市の経済発展、雇用の創出を実現するものとして「自転車」に着目。観光資源の発掘や地元住民の健康づくりをめざし、西都市の協力のもと「西都市サイクルツーリズムセミナー・散走体験会」や自転車通勤による健康効果を計る「じて通in西都」などの企画・運営を精力的に実施。地域交流会で得た事例を参考に、住民の方に自転車の楽しさ、西都市の魅力を「実感」してもらうことによる波及効果をめざされています。

大阪府河内長野市 地産地消の推進や交流人口の増加をめざし、誕生したのが「奥河内くろまろの郷」です。地元野菜の産直所や地産地消レストランなどを備えたここを拠点にした、自転車による魅力発信プロジェクトを発足。散走フォーラムを実施して住民が我が町の魅力を発掘し、コース設定やサイクリングマップ制作を行うなど、さまざまな活動に着手。敬遠されがちな山や坂を河内長野らしさとして打ち出すなど、独自性のあるユニークなまちづくりに注目が集まっています。

そして今回、まずは参加者の皆さんが現在どのような「自転車のまちづくり」に取り組んでいるのかを1組あたり5分間のプレゼンテーションタイムで発表することからスタート。

長野県飯山市では、広域の9市町村が連携し、長野県の協力を受けながら
自転車のまちづくりに取り組んでいます。
2015年の北陸新幹線飯山駅の開業に伴い、アウトドア全般の窓口として
飯山駅信越自然郷アクティビティセンターがオープン。
レンタサイクルやトレッキングウェアレンタル、民間サービスの窓口など
さまざまな活動を行うなかで、自転車関連のインフラ整備やサービスが
遅れているという課題が浮き彫りになってきました。
信越9市町村で広域ネットワークを構築したいという目標があるものの、
自転車に慣れていない一般の方でも安心できるサービスを
どのように作っていくかを現在模索中。
公共機関との連携、輪行バッグに入れずに自転車を運搬する方法など、
トライアルとなる実験を行いながら、誰もが楽しめる自転車のまちをめざしています。

いち早く自転車のまちづくりに取り組んできた静岡市。
現在は「世界水準の自転車都市~しずおか~の実現」をめざし、
自転車走行環境の整備、ルール・マナーを周知する機会づくり、
自転車に乗りたくなる環境づくりの「ハード」「ソフト」「マインド」の3本柱で総合的な取り組みを実践しています。現在の課題は、一般市民に「自転車まちづくり」に関心を持ってもらえるためにはどうすればいいか?ということ。
観光客に静岡をPRする前に、まずは、市民に静岡市の歴史文化に興味を持ってもらい、自転車の利用促進を図りたいと考えられています。

このような発表を次々と行い、あっという間にプレゼンテーションタイムが終了。

皆さん、伝えたいことがたくさんあるため
5分では時間が足らない!というケースも見られました。

休憩をはさんで、質疑応答タイムへ。
先ほどのプレゼンテーションの内容から、疑問、質問についての回答を求めます。
岩手県大槌町では冬場は雪が深く、アクティビティを展開しにくいという質問に対し、長野県飯山市の方からすかさず挙手が。
「長野県も冬場は雪が多くスキー場が多いことが特徴ですが、
最近はFAT BIKE(タイヤが太い自転車)が流行っています。
スキー場の協力を得てFAT BIKEでダウンヒルができる
“雪チャリナイター”を行ったところ大変好評でした。
ただ、一般のスキー場のリフトには自転車を載せられないなど
さまざまなルールや規制があるので、スキー場の関係者の方への理解や
法的問題をクリアすることが必要です」
とのご意見があり、大槌町の方も非常に満足された様子。

さらに、八重洲出版社の方からは
「FAT BIKEは別名スノーバイクと呼ばれ、最近かなり人気が高まっています。
世界の雪国の、同じ緯度に位置するスキー場でレースが盛んに行われていますよ」

と専門的なご意見も飛び出しました。

いよいよこの次はグループに分かれてディスカッションに入ります。
あらかじめ決められたチームにわかれ、「自転車のまちづくりを継続的に実践するために必要なこと」として、地域資源を活かした自転車まちづくりについて話し合い、実現のヒントを得る機会に。
どんなやりとりがあり、その後どんな展開になっていったのか、
続きは次回にお伝えします。